Inagaquilala

LORO 欲望のイタリアのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

LORO 欲望のイタリア(2018年製作の映画)
4.2
東京国際映画祭の「ワールド・フォーカス」としての上映。パオロ・ソレンティーノ監督の、このところの一連の作品の集大成かと思うような作品。主演はもちろん、ソレンティーノ作品の常連であるトニ・セルヴィッロ。トニがベルルスコーニ元首相と思わせるような、政界のドンを演じる。冒頭にヤギが登場するが、これはサルディニアにある主人公の別荘の描写につながる。このヤギが、何かへの生贄の意味があるのだろう。2部構成であるが、最初は政界の実力者に接近しようとする危うい稼業のセルジョの話。次が政界のドンが描かれる政治のドラマにもなっている。

とにかく別荘のシーンはゴージャスで耽美極まる描写が続き、実際にこのような宴が開かれていたのだろうなと思わせるリアリティもある。後半の政界のドンの物語はなかなか興味ぶかく、これまで、一連の作品で描かれてきたソレンティーノ監督の人物像が凝縮している。トニ・セルヴィッロの演技もそれに応えるかのように、狂気をにじませたひとりの男を演じている。「彼ら」というタイトルは、原題そのままだが、複数形だということに、意味が込められているように思える。

2019年10月10日再観賞。
去年の東京国際映画祭で観た作品、その時のタイトルは「彼ら」。彼らとは、主役であるベルルスコーニの一派を指すのか。政治とエロスが絡んだ豪華絵巻。やはりベルルスコーニ元首相を演じる役のトニ・セルヴィッロの演技が圧倒的だ。サルディニア島のゴージャスな別荘から始まる冒頭は印象的で、自動扉を掻い潜って最新のリビングに侵入する羊は、何を象徴しているのだろう。「グレート・ビューティー 追憶のローマ」の名匠パオロ・ソレンティーノ監督がスキャンダラスに描くイタリア現代史。イタリアならではの、艶のある政治劇が展開される。やはりかなり好きな作品だ。
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