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アポストル 復讐の掟のとぽとぽのレビュー・感想・評価

アポストル 復讐の掟(2018年製作の映画)
3.5
"EXODUS"謎を呼び異様な緊張が走る奇々怪々、様々な形のホラー(恐怖)が伝搬していく。主演ダン・スティーブンス(一応書いておくと『美女と野獣』の野獣)が観客の視点となるばかりかリアル野獣となって、このヘンテコな物語を引っ張りずっと不穏でダークにスリリング。彼の目に宿る知性と凶暴さは観客を魅了するには充分すぎるほどだろう(これで足りないなら『誘拐の掟』も見てくれ)。何なら野獣の次は狼男にでもなりそうな勢い?マルコム役で変な髪型したマイケル・シーンも如何にも悪そうだけど案外熱いやつ。家族や最愛の人を連れ戻すために何処かに潜り込み、しかもそこが変な儀式や狂気じみた信仰を持ったカルト教団のような独自の集団というプロット自体は決して珍しいものではない。一見突拍子もなく、そしてこういうものにヘビーめなオカルトとグロテスク(血には血を!特に文字通り顔面崩壊)は欠かせない。例えば信仰心と悪魔崇拝、容赦のないローカルルールは閉塞的で小さなコミュニティならではの特異さを浮かび上がらせる。そしてそれは多くの場合絶対的で時に我が子さえ手にかけるほど。しかし本作は単なるそこに埋もれるものではなく、しっかりと独自性を保っている。それも時に強烈なビジュアルのインパクトと個性を持ってして。苦手なジャンルではあるけどそれなりにたのしめたし「なんじゃこりゃ」という得体の知れないものを垣間見るような強迫観念にも似た熱狂、あるいは作り手の熱量にタジタジ。闇に近付くような不快感、背徳感、そして何より全体像が見えずに理解しきれぬ自分へのもどかしさは心配を煽り見る者の目を釘付けにしてしまうようだ。それだけ手に汗握る駆け引きと攻防戦はまるでじっくりことこと積み上げた恐怖のまま試練そのもの。とにかくこの島はヤバい!終盤に進むにつれて物語の本質が露呈し理解不能の世界になってくるけど、変態的ですらあるほど病的に闇が深い人間って醜い。

「島に侵入者がいる、どこかに隠れているんだ、探し出せ」
"Be ready."
「迷信はやめてくれ」「女神の力が弱ってるの」「何かに怒ってるな」
"How could you!!" "I want this"
"Prove yourself!!"
「この世界は俺から多くを奪ってきた」
TOMATOMETER77%AUDIENCE74
Critic Consensus: Apostle resists easy scares in favor of a steady, slow-building descent into dread led by a commanding central performance from Dan Stevens
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