Machiko

プロメアのMachikoのレビュー・感想・評価

プロメア(2019年製作の映画)
2.0
試写会にて。

とにかくストーリーに緩急というものがない。メリハリと言い換えてもいい。二時間常にテンションボルテージMAXで、あまりに「静」のシーンというか「溜め」がないので、逆に途中から退屈してしまう。最初から最後までクライマックス、というのが「熱い」とされるのは否定しないが、個人的にはきっちり「溜め」を作った上で、そのあとドカーンと弾けてほしいのだ。テンション高くて熱血な展開なら何でもかんでもとりあえず「アツい」って雑な情報処理してる観客も多すぎる。
展開が速すぎて情緒の入り込む余地がないのもまずい。二時間のなかで、信じていた人物の本性の暴露あり、作品世界における常識を覆す驚きの設定の提示あり、敵だった人間と手を組むという人間関係の変化あり、と物語は次々と様相を変えていくが、前述のように全く抑揚がなくひたすらハイテンションのなかでストーリーばかりが転がっていくので衝撃や感動を感じる暇が無いのだ。ダイナミックな構成の物語はしばしば「ジェットコースター的」と表されるが、この作品はジェットコースターではない、ただの「高速道路」だ。とりあえずハイテンションでずっとダラダラやっていて、アップダウンが全く無いのだから。
本来これは2クールでじっくり描くべきストーリーないし設定であったのではないか。キャラクター造形も表層的、あるいはもっと悪くバックグラウンドが殆ど描かれていないし。二時間の映画なら二時間の映画として順当に楽しめるものを作るべきだし、この出来の映画を「アツくてハイテンションで最高!」とだけ評価することは、結局ジャパニメーションのクオリティの低下を招くのではないか。
台詞がかなり聞き取りづらいのも気になった。滑舌が悪くて、というのではなく、BGMや効果音にかき消されて聞き取れなかった台詞がかなり多い。今回の会場は映画館ではないので、単に音響設備の問題だったのかもしれないが……。
あと単純にバーニッシュへの差別問題とか回収されてなかったよな?
作画、音楽、演技などはどれも物凄く良かっただけに、その素晴らしい点を自ら殺しにいくようなメリハリのなさ、演出の悪さが残念で仕方ない。
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