TaiRa

プロメアのTaiRaのレビュー・感想・評価

プロメア(2019年製作の映画)
-
実は今石作品はつまみ食い程度にしか観た事ありませんで、実質これがお初です。画面情報量の過密さに脳味噌ヒートして急激に眠くなった。面白かったよ。

アニメーションの豪快さはもう途轍もないし、ずっと観てられる感じ。混沌としつつも上手い具合に見せ方は工夫されてて、例えば位置関係の把握とかは思ったより難しくない。映画全体の静と動の割合は1:9くらい。物語に背負わせてる主題も、現実の課題と呼応しつつも説教臭さは感じさせず、エモーショナルに仕上げていたので良かった。アメリカン・ヒーロー・コミックからの頂き物を上等に調理したとも思う。突然変異の人体発火人種への差別と彼らの抵抗は、それ自体新鮮なモチーフではない。ただ「もっと燃えたい」という純粋な欲動に突き動かされているという点が好き。発火人間の炎の正体含め、荒唐無稽万歳な脚本。デウスエクス・マキナをそのまま名前に使うギャグなんかもね。火消し、レスキュー、無闇に人命を奪わない、これらに支えられたヒューマニズムが中途半端な才能しか持たないエリートの選民思想を砕く。主人公らは選ばれし者ではなく、「たまたま」世界を救う立場になったというのが重要。ヒーローは運命や血統によってなるのではなく、人を救う意志を持った時点でなるもの。
TaiRa

TaiRa