なっちゃん

プロメアのなっちゃんのレビュー・感想・評価

プロメア(2019年製作の映画)
4.0
中島かずきtrigger崇拝オタクなので問答無用でめっちゃ面白かった。
キャラクターそれぞれが魅力的で、ロボがでてきて、かっこいい

1番好きなシーンはリオがマジギレするシーンで、神話かと思った。仲間を奪われた理不尽に対して怒り狂う龍、いったいどれだけ俺たちから奪えば気がすむのか?という叫び。痛ましくて美しいよ…

次に主人公ガロな、スーパー主人公すぎた

そもそもガロは火事によって孤児になった過去があるけど、火事を一切恨まない。自分の身に起こった理不尽で納得できない事件を受け止めていて、語るときも自分かわいそうでしょというスタンスでは全くない。
理不尽を抱えてネガティブになるのではなく、そのとき助けてくれたクレイを「英雄」として尊敬し、クレイに認められ近づこうとする。
とんだスーパーマン…過去の理不尽に対してネチネチ言ってもいいことはなにも起きないんですよね。前向くしかない。普通なら長い時間かけて立ち止まってもおかしくないよ。

しかもそんな背景をひっくり返す中盤のクレイの激白。
自分を救い育ててくれた、尊敬する人物が、実はバーニッシュへ理不尽な仕打ちをしていて、果ては自分に対して「目障りだったんだよ!」と言い放たれる。ショック……

ここでガロは、クレイが完璧な人間なんかではないってことに気づく。
子どもが、それまで完璧な人間と思ってた親に対して「あ、親も大勢いる人間のうちの1人なんやな」って気づくあの感覚。
天上にいると盲信していたクレイ・フォーサイトが地に堕ちてくる。

このショックがあったから、終盤に繋がっていったんやなと思う。
終盤ではガロの幼少期に起きた火事はクレイのバーニッシュとしての本能によるものだったと発覚する。
この話を聞いてもガロは涙を流すこともない。だってクレイも数多の不完全な人間だと、実験場で分かってしまっているから。

不完全な人間だから、間違うこともある。裏切られた怒りよりむしろ、虐げられてきたバーニッシュの本能を知っているから、バーニッシュであることを隠してきたクレイに同情すらおぼえたのではないか。

その流れをふまえて、プロメテックエンジンの前で「俺はたすけるぜ。リオも、地球も、アンタもな」というセリフ。ガロかっこよすぎるな……

ガロは自分自身が不完全であることも自覚していて、リオから尊敬するクレイの悪業を聞かされたときも思考停止せず、本人に確認するんよね。こんなに眩しい人間がいるでしょうか。
クレイがガロを嫌いだと思っているのは、ガロが羨ましいから。
自分の高潔(と思ってる)自我が、本能に負けてしまった結果生まれた理不尽な罪の結果がガロであり、しかもそんなガロが何も知らないまままっすぐ自分を慕ってくる。羨ましい。自分もこんな風に生きられたらどんなに素敵だろうと思うけど、そんなことは自分の罪と自我が絶対に許さない。
そう思うと、本作で1番救われるべくして救われたのはクレイ・フォーサイトやったんやな〜。
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