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プロメアのおはうちのレビュー・感想・評価

プロメア(2019年製作の映画)
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グレンラガンのカミナの父親は亡くなっているのが前提で父子の交流は描かれなかったが、プロメアのガロは擬似的な父親たるアイツに正面からブン殴っていく交流を果たしたのは良かった。

3DCGでモデリングされた都市の漂白された無菌な街並みは、均一のビルが立ち並び、ツルツルで薄っぺらな世界が広がっている舞台。そこへ、紫の龍が現れて炎に包んでいく様子や、巨大ロボが破壊し尽くしていくには良い空間だった。

冒頭、レスキュー隊のコンビネーションたる“隊”を強調したアクションが一番面白い。でも、チーム物としての側面はあれっきりだったりする。


戦う理由や理論を描写し重ねようとするたびに活劇の流れは停滞されて、活劇は寸止めになり尺が長くなっていく。クライマックスは引き伸ばされ、理屈をこねる事ごとにダイナミックなアニメーションの連続を嬉々として受け取れずに飽きてしまう。更に争点が、そもそも何の為に戦っているのか混線されて実感を得られなくなっていく。

アクションを引き起こす為、キャラが反発して反逆する力を誘う為、薪木をくべては燃料をぶっかけて火を起こす順序を繰り返す。クライマックスでは、この順序を短いスパンで繰り返す。単調ではあるがストレートに感情を喚起してくれる。しかし、この便利さに甘え過ぎた、あまりにも即席すぎた。


身体から火がボーボー出てしまう突然変異を起こした人間と普通の人間との摩擦を物語にするという『X-MEN』的なアプローチかと思ったんだけどなぁ。宇宙は絡めなくて良かった。壮大さやダイナミズムを演出したいが為、手っ取り早くダイナミックな対象である宇宙と接続する為だ。それにしても宇宙が接続している設定を、理屈をこねる時間の長さにも困った。

バーニッシュという新人種についての物語じゃなかった事に落胆した。新人類と旧人類についての物語ではないのか、というのが率直な感想。人種間の軋轢という難題に取り組んでると思ったら、人種問題は、新人種が元の人種に戻る事で完全に解決できてしまって脱臼した。

結構な尺を割いて差別や偏見が深刻だという描写(ピザ屋)に対して、ラスト後に世間が反応する描写が無いので不完全燃焼だった。主人公とその周りは分かってくれるのは分かったが、市井の人々の描写が不在。そもそも普通の人々の突然変異から始まっているのに、その普通の人々が不在なのは如何なものか。


小清水亜美のキャラと堺雅人のキャラは男と女の関係なんだろうなと匂わせてる程度なのが良かったな。科学者と司令官の関係ってエヴァンゲリオンかよ。
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