偽名祐司

プロメアの偽名祐司のレビュー・感想・評価

プロメア(2019年製作の映画)
3.8
世界が待っていたトリガー印のオリジナルアニメーション。
熱さは変わらないけどそれに線と色調が付いていけてないと思います。

話はアプリ参照で
謎の人体発火現象が社会現象となっている近未来。
発火能力を持つ人々バーニッシュの権利を主張し、世界に反旗を翻すテロリストのリーダー・リオ。熱い魂を持った消防団バーニングレスキューの隊員ガロ。
2人の熱が重なった時世界は燃える。

アニメーション製作会社トリガー。過去の製作アニメーション作品「天元突破グレンラガン」「キルラキル」等を知ってる人間のレビューとなります。ちなみにどちらも最高だと思っております。バイアスかかるかもしれませんのでそこは申し訳ない。

まず初手でおおよその人が思う「これ…○○の消防隊?」っていうのはまあ置いておいて。
色々とどこかで(ぶっちゃけ上記二作品)観た事があるキャラが多いのですが、それを「自作のオマージュキャラ夢の競演」と判断するか「オリジナルデザインの不足」と判断するのは人次第だと思います。
ちなみに私は「カミナの兄貴が兄貴のまま大暴れする姿観たかったからそれは最高!でもちょっとオリジナルキャラ少なすぎない?」位のスタンスです。

話としては2時間ちょいでオリジナル世界で話を構築する以上、あまり複雑怪奇な話は出来ない道理で王道ど真ん中です。
概ね予想できる展開ばかりですが、最初に見せたプロメア能力の発動描写があまりにも「炎炎」っぽいのとストレス的なものが理由に見えるので真実の説明がちょっとご都合主義に見えました。

ですがそれを吹き飛ばす程の展開の速さとキャラクターの熱さが問題なく鑑賞させます。
特に檜山修之を始めとしたトリガー作品に関わっているベテラン声優達についていく、堺雅人や、松山ケンイチの演技は素晴らしく、一瞬聞いても当人と思えません。終盤の堺雅人の演技の切れっぷりは圧巻でした。

展開も王道ながらテンポ良く進み、新しいギミック、武装マトイテッカーの畳み掛けは楽しいです。最終的に平和利用する巨大ロボットが敵になる展開は面白かったですし、まさかの○○開墾○ー○に爆笑です。主役の二人が協力して戦うのも楽しいですし、往年の要素がガンガン入ったラスボス戦闘も最高でした。

と、結構褒めてるんですけど、残念な所もあります。
恐らくこの作品の個性としてあるのがポスター等見ても解る色彩のポップさだと思うのです。
実際に映像でもCGで壮大な光景を魅せるシーンや、手書きの勢いのある動きがあるシーン。どちらもバランスよく入っていて素晴らしいのですが、全般的に色彩が明るく、カラフルで、コントラストが薄い感じなのです。
それはそれで悪くも無いのですが、その分、色彩に黒成分や線の厚さが常時無い状態になってまして。
個人的にトリガー作品の素晴らしさはその線の太い荒々しい動きとダイナミックなアクション、そして昭和の臭いがするほどの濃い色彩と絵柄だと思ってましたので。
そういった個人的に好きだった要素が今回はあまり見られない事が残念です。あくまで個人的です。今までとは違う新しい一歩として評価するべきかもしれませんがこの辺バイアスかかってしまってます、好きな人は好きなんじゃないかな?と。
ですが非常にテンションが上がる最終戦の背景の白い寒々しさを見てしまうとやはり加点要素にはならないです。
楽曲とのリンクも良くやってて素晴らしいのですが、楽曲そのものにもう一つヒーローチックなアップテンポナンバーが欲しかった所。熱くさせる手法はもっと色々あったはずであるのにやらなかったのは惜しいですね。単純に尺が足りなかったからかもしれませんが。

とちょっと色々マニアックな文句つけましたが
普通に満足感のある一つの作品としてお勧めできます。
暑い夏を吹き飛ばす熱い体験をしたい人は是非どうぞ。
偽名祐司

偽名祐司