けんざ

プロメアのけんざのレビュー・感想・評価

プロメア(2019年製作の映画)
4.2
燃える火消し魂と冷たい復讐の炎が世界を救う。

年始にスパイダーバースを見たときと全く同じ感想、これ絶対映画館で観るべき!少年漫画の特権とも言える熱さ、そしてパステルカラーと直線美の暴力に飲み込まれながら、映画館でハイになりたかった。

アニメに疎い自分ですら圧倒されてしまうパワーを持つのがこのプロメア。脚本、作画、キャラデザ、音楽、キャスト、全てにおいて惜しみなくリソースを注いだことで、圧倒的なクオリティを実現している。これが日本アニメの辿り着いた1つの到達点なのか。だとすれば、ガラパゴス的進化の過程を見逃してきた自分に歯痒さを覚えてしまう。

プロメアを象徴する炎、それは真っ赤に燃え盛る熱い炎だと思っていたのに、どこか低温火傷を思わせる冷え冷えとした紫の炎だった。何故なら、それは不完全燃焼だから。巷で言う「炎上」も、可視化したら紫の炎なんだろうか。虐げられたバーニッシュたちの抵抗が世間を揺るがす様は、小さな火種が一瞬で大火事となる現代のネット社会そのものだと言えるのかもしれない。

しかし、至極分かりやすいストーリーが展開されていることからも窺えるように、細かいことをゴチャゴチャ考えるのはナンセンス。ただ真っ直ぐに伝わってくる熱さを受け止める、それだけで十分だ。
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