すず

君は月夜に光り輝くのすずのレビュー・感想・評価

君は月夜に光り輝く(2019年製作の映画)
3.0
かなり削ぎ落とされちゃったのね

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【キミスイと比較されて可哀想】
キミスイと監督が一緒、病気もので男を振り回す元気な女の子という共通点があるからか何かと比較されて可哀想な作品。両作品とも原作既読、映画鑑賞した身としては原作も映画もそれぞれ違うんだけどなー

【良かったところ】
原作は全く泣けなかったけど、映画は1回だけウルッときた。周りは泣いてる方もちらほらいたんですけどね。私はその1回だけ。映画の良い所は永野芽郁が可愛い。そして肌のみずみずしさに嫉妬(笑)メイドのリコちゃん(今田美桜)がめちゃくちゃ可愛い💗リコちゃんとのやり取りは省かれてなくて良かった。リコちゃんのその後は映画では描かれなかったので、知りたい方は原作で。

【ヒロイン重視】
キミスイもキミツキも北村匠海出てますが、ヒロインが輝く脚本なのか監督の撮り方なのかわからないけど、北村匠海の存在感がヒロインに負けてしまう。役柄が大人しいのもあるけど。匠海くんはあまり印象に残らなかった。イヤホンが派手なことの方が覚えてます(笑)

【原作既読視点の感想】
[九月の恋と出会うまで]は原作積読で公開に間に合わずだったけど、こちらは公開前に読み終わりました。

本→映画の順だとあのシーンがないこのシーンがない、と違う所を探してしまって、純粋に観ることが出来なかった。
ないないづくしで本で感じたまみずの死への怖さ、卓也の死にたがり感が薄くなってしまって。原作者が描きたかったところと映画で伝えたかったところに違いがあると感じた。【死ぬ】、【死にたい】より【生きたい】に焦点をあてた感動ものになってました。




以下、原作からカットされたあれこれ
これから原作読まれる方はスルーしてね




・香山が恩人でクズ男だって話
まぁ、これは時間的に入れられないか

・亀
卓也の部屋に亀が居たけど、原作は亀を買うところや墓参りに連れて行ったり、最後に海に行く時も連れて行ったりとキーアイテムの1つなんだけどなー

・中原中也の詩には続きがある
愛するものが死んだ時には、
自殺しなきゃあなりません。

実は続きがある。
けれどもそれでも、業が深くて、
なおもながらうことともなったら、
テンポ正しく、握手をしましょう。

続きがなかったら自殺推奨みたいでダメだと思うんだけど。伏線回収して欲しかった。

・ロミジュリにはオチがある
えー(°᷄д°᷅)そこカットしたら卓也の気持ち見えないじゃん!どこまでも卓也の気持ち描かないつもりなのね…

・まみずの名前の由来
単純でいてガッカリな名前なのです(笑)

・卓也が病んでる
原作の終盤は結構死に近づこうとしてる。母だけでなく卓也も病んでる。死にたい者(卓也)と生きたい者(まみず)の対比にもなってたのに、映画は卓也が鳴子の死に対してどう感じているかが全く描かれない。だからまみずに憧れてることも描かれない。色々削ぎ落とされてただの病気ものの物語になってしまった。

・発光病のまみずを綺麗と思っている
卓也は光るまみずを綺麗と言ってくれる。まみずは光る自分が恥ずかしいと思っているのに、卓也はそうは思わない。そこのやり取りが映画ではなかったのが残念。それに火葬されて煙が光るところも卓也は綺麗と思っているのに、香山だけが言ってるのも卓也の気持ちが吐露されなくてまたまた残念。

・卓也の気持ち
鳴子の死も発光病のことも死をどう思っているかも何もかも。卓也の気持ちはまみずが好きということくらいしか伝える気がなかったんだろうな、映画は。

【キミツキとは】
死にたがりが死と向き合い、前を向いて生き始める物語。それと小さな伏線たちと回収。それが本来のキミツキ。結構人を選ぶ本だと思う。
だからその辺削いで、感動ものとして受け入れやすくした。それが映画キミスイ。
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