ゆんぶりっく

サマー・オブ・84のゆんぶりっくのレビュー・感想・評価

サマー・オブ・84(2017年製作の映画)
3.6
タイトルや映画ポスターからITやグーニーズ、スタンドバイミーなんかと結びつける方も多い今作。
しかし今作は上記の映画とは一線を画す映画であることは確か。

ジュブナイル物の多くが少年たちが勝利や成功、もしくは恋愛の成就により大人へと成長する物語だとするならば、今作はまさにその真逆。
子供が打ちのめされ、身の丈を知り自分の限界を知る事で大人へと成長するという超リアル志向な映画だと感じた。

とはいえ今作の評価が分かれるのは身の丈を知るどころか、下手したら再起不能レベルに叩き潰されてしまうエンディングゆえ…

個人的にはこの終わり嫌いじゃなかったかなと。
理由は後述します。
映画終盤までテンプレ的ジュブナイルテイストなだけに「スッキリしねー!!!!」という感情は残りますが笑




ここから先は更に作中の出来事について触れていきますが…











殺人鬼によって今後一生消えない呪いを打ち込まれた主人公。
殺人犯が、俺の生活をよくも壊してくれたな!!と主人公を恫喝する様が印象的で、若干ジョジョの吉良吉影を思い出しました…笑


映画を観終わってどんよりしたものの、改めて考えるとこのエンディングってつまり子供時代の終わりを意味してるのかなと思いました。
子供時代って思春期特有の全能感から、下手したら死ぬようなことも平気でやってしまうじゃないですか。
ただその結果マジで死にかける事で、当たり前だけど「死が身近にある事」を知る。
それはつまり限界を知り自分は無敵で特別な存在ではないんだと知る瞬間でもある。
今作は映画上その体験の象徴が殺人鬼との対峙だったのかなと。

その後に主人公が自転車で家々を見て回るシーンがあるが、あれも青春の終わりを意味しているのかなぁと思って見ていました。
誰しも思春期の恋って1、2回くらいデートはしても付き合うまでには至らずに卒業式の日も遠くで目が合うくらいで終わったり、「近所に住んでるから」でつるんでいた友人とも疎遠になったり人間関係でも上手くいかないことも多い。
そういった子供時代の人間関係の終わりを表しているのがあのシーンなのかなと。

殺人鬼のいう「いつかお前を殺しにくるぞ」というのも考えてみれば人の死はいつかは必ず訪れるものだし、そう言った「死」そのものの暗喩だったりするんだろうか。
自分はいつか死ぬ。という逃れられない現実すらもなんとか折り合いをつけて生活していくのが大人だしな…


グーニーズやら多くのジュブナイル作品の少年たちが英雄になれた子供達だとすると今作は「英雄になりきれなかった残り99.9%の子供達の物語」と考えると、自分だってそうだし、嫌いになれない映画でした。

もちろん全然見当違いな感想かもしれんけどもw
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