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第三夫人と髪飾りのnanaのレビュー・感想・評価

第三夫人と髪飾り(2018年製作の映画)
3.8
世界の巨匠が才能を絶賛する新鋭、アッシュメイフェアのデビュー作。

公開間もなく上映中止となり、本国に衝撃をもたらした作品。
実話を元に制作されている。


北ベトナムの富豪の元に嫁いだ14歳のメイ。
祖父ほど年の違う夫には三人の妻がいる。

唯一、息子を産んだ第一夫人。
三人の娘を持つ美しく魅惑的な第二夫人(美しすぎていろいろあります)
男の子の出産を期待されるメイ。

嫁いだばかりのメイに、第二夫人を「あの人は奥様と言えないわ。男の子を産んでないもの」という使用人の言葉。
この家では男の子を産んでこそ、「奥様」なのだ。

周囲の期待通り妊娠するメイ。
時を同じくして第一夫人の妊娠も発覚。
一人の男の二人の妻が、同じ家で妊婦となり生活を共にする。

しかし、第一夫人のひとり息子と第二夫人には秘密があり…。


世界遺産チャンアンを舞台に撮影された本作。
奇岩が連なる断崖絶壁の山々と、麓を流れる川、鍾乳石が垂れ下がる神秘的な洞窟が美しい。

幻想的な景色の中、息を呑むような衝撃的なラブシーン。

魅惑的な女に翻弄される少年。

少年にあてがわれた子供のような新婦。
相手も知らず嫁がされて、他の女を忘れられない夫に追い出される新婦の心もとない表情。

女性は嫁ぎ先から戻ったら二度と結婚出来ない。
子供のうちにこんな目にあうなんて。

美しく優美な女達が織り成す桃源郷の残酷な愛。

どうしてだめなの?
年上の女性に求愛を拒絶されるメイの強い眼差しが印象的だった。
メイの拠り所は彼女だけだったのか?

複雑な恋愛と階級差別、エロチシズム。

女優さん達の所作や仕草が美しく、ささやくような声で交わされる会話。
メイドまでもがエレガント。

全てに品がある。

終始官能的に進みます。

ラストの川のせせらぎからの音楽が、重厚で深く、それでいて涼やか。
エンドロールまで楽しめる。


綺麗な映画でした。
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