19世紀のベトナムを舞台に、一夫多妻制の中で大富豪に嫁いできた14歳の少女の姿を、鮮やかな映像美で見せる。劇場で予告編を観た時から、その美しい映像が印象に残ったが、実際の本編では、台詞を減らし、その分、水や風、動物の鳴き声風といった自然の音を巧みに取り込んで、観客を異国の地へと誘う。
まだ男性を知らない14歳の幼い少女が嫁ぎ、初夜を迎え、妊娠、出産へと話が進む。所謂アート的というか、更に踏み込んでグロテスクかつ官能的な描写も多く、なかなかインパクトのある作品である。同時に女性の苦悩や、現代に向けた自立のメッセージも含まれている。
主演のグエン・フオン・チャー・ミーの美しさに圧倒されるが、だからこそ余計に気になってしまうのは、彼女の撮影当時の年齢が、設定よりもさらに若い13歳だった事。幼い少女に官能的な演技をさせた事が問題となりベトナムでは公開4日目で上映中止になったそうだが、大人の男として、これをどう評価すれば良いものか、少し悩んでしまうのは確か。
