ハレルヤ

残された者-北の極地-のハレルヤのレビュー・感想・評価

残された者-北の極地-(2018年製作の映画)
4.0
飛行機事故で北極圏にただ1人取り残された主人公。壮絶な北の大地からの生還を目指しサバイバルを繰り広げるドラマ。

主演は映画ファンなら誰もが好きな人という印象がある実力派マッツ・ミケルセン。劇中はほぼほぼ彼の一人芝居で進行します。演技力には定評のある彼なので、本作でも1時間半片時も目を離させない演技を見せてくれました。

1人で救難信号を手動で回し、魚を釣り、地面にSOSの文字を書く。孤独に過ごす主人公ですが彼だけならそこまで無理ゲーな状況ではなかったでしょう。

状況が動くのは救助に来たヘリコプターが墜落した時から。重傷を負っているものの生存者である女性乗務員を助け出したことで、自分だけの問題ではなくなります。

意識が少ない彼女をソリで引き、観測所まで移動せざるを得ない状況になってから更なる厳しいサバイバル。荒れ狂う吹雪に地図にない困難な崖。不足していく物資に凍傷まで進んでいくという極寒の地での厳しい現実をしっかり描写しています。

そしてホッキョクグマは本作での恐怖の存在。足跡を見つけた時、唸り声を聞いた時、いざ対峙した時の恐怖感は見ている側でもゾワッとするほど。マッツ・ミケルセンの表情と緊張感を高める音楽の効果もかなり大きかったと思います。

後半は絶望的な場面ばかりでしたが、それでも懸命に生還に向けて食らいつく主人公の姿には生への執念を感じました。

登場人物もごくわずかで舞台も一面雪景色とそんなに変わり映えのないもの。それでもキャストと演出が抜群の相性を見せてくれた良作だと思います。
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