ちろる

先に愛した人のちろるのレビュー・感想・評価

先に愛した人(2018年製作の映画)
4.3
家を出て行ったゲイの夫の愛人が保険金を全て奪ったという母親の怒りから入るオープニング、いつもエモーショナルな母親には息子も嫌気がさして親子関係は最悪。
内容だけだとドロドロ愛憎劇かと思いきや、最後の最後まで抜かりなく笑えて泣かせてくるなかなかの秀作だった。
妻の座にいれば幸せと思って家族のあり方を間違えた母
両親の本当の真相も知らないまま母を拒絶する息子
内縁の夫として失った父の側に最後に寄り添った恋人
幸せな家族に固執しすぎた母が過ちを犯したわけではない。
世間の目が怖くなって本当の心から逃げ腰になった父が悪人というわけではない。

死んだ人の心の中は見えないけれど、ほんとは誰も憎しみ合う必要なんてなかった。
母が父を愛することも、父が恋人を愛することも、父が息子に会いたくなることも、息子が愛人を慕うことも、その全ての方程式はバラバラでも美しい答えが生まれる可能性だってあるのだ。
最初の誰かがかけ間違えて互い違いになったボタンがあれば、もう一度着替え直せばいい。
誰かを想ってる心の軸がブレなければボロボロになっても絶対立て直せるはずだと心に認識した優しい優しい人情物語でした。
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