Shintaro

運び屋のShintaroのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
3.8
これが最後か、遺作か…
と思いつつ観れる作品って貴重。


この人がいなくなったらとても悲しいだろうな…と映画の内容も相まって久々にウルっとしました。

ご本人も、まぁ決して善人かどうか分からない破茶滅茶な方とのニュースもありますが、
取り敢えず僕には、今までの映画とこの顔が全てなので 大好きな俳優さんです。


イーストウッドが演じる全てのキャラクターが『許されざるもの』。
罪とまで言わなくとも、何か業を背負って今を生きる者の“贖罪の旅”みたいなオーラを纏ってますよね。

別に、イーストウッドだけじゃなく、
ご年配の方々で、あ〜この人たちは言いたくない過去、悲しい過去、自分に何かを課して生きてる って感じる人って 哀愁があります(勝手な主観です、)。
そんな人の1人にフォーカスした映画をいつも観てるような気分。
リアリティがあって、象徴的で少し崇高な感覚にもなるような特別な気分になる映画です。
もちろんイーストウッドが演じるからこそ、ちょっとしたヒーロー像にも見えるんですが。

新聞の記事からの着想のようです。
農園で働いていた退役軍人のおじいちゃんが、麻薬カルテルの運び屋になる話。
理由は、
『自分が育ていた花と同じ様に、コカインは人々を幸せにするから』

唯のこじ付けか、狂人のセリフなのか、老いぼれの純粋さなのか?
どちらにせよ、映画を見てからだと、どこか考えさせられる言葉です。


この映画、終始主人公の視点で描かれるので、
結局、麻薬カルテルの事情とか、謀反の先の話や、信頼関係を築いていた部下達のその後 は分からずじまいで終わります。
とても良いキャラだっただけにそこも描いて欲しかったですが、焦点がブレるので スッキリした終わり方だったかも。

町山さんのコメントが面白くて、
枯れたと思われたイーストウッドもまだまだ絶倫、
『弾切れだと思ったか!?試すか小僧!』
のセリフが聞こえてくる との事。
ガッツリ稼ぎを下に消化してるおじいちゃん。いや〜、、悪くない。羨ましいわ。


共に過ごす時間に、お金はいらない、、

テーマは、人は歳に関係なく学べる という事。
人に言えない事の一つや二つ誰でも持ってますが、認めて生きるという事を学んだ気はします。
個人的には、麻薬カルテルの部下や、ブラッドリークーパーの捜査官の気付き、学び が描かれていればより良かったかもしれません。(僕が気付いてないだけかもですが)

貴重な映画だとも思うので、是非ご覧ください。
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