三樹夫

運び屋の三樹夫のレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.0
仕事ばかりやって家族をほったらかしにし、娘には口もきいてもらえずあからさまに避けられている男の家族への贖罪。主人公がどう考えてもイーストウッドのこととしか思えない。外で認められるのが好きで、外でちやほやされるのが楽しい。育てた花で賞を取っていたが、花を映画に置き換えるとまんまイーストウッドだ。
殺されるかもしれない中やっと家族という選択をとるというところに、家族への贖罪の真剣さが表現されている。家族への贖罪とかいうと重い感じがするが、映画が始まってから運び屋を始めるまでの展開の移行が早く、運び屋シーンも鼻歌うたいながら走行したり、積んでる麻薬が警察にバレるんじゃないかというサスペンスもあり、基本的に楽しい映画なのは間違いない。

『グラン・トリノ』と構造はほぼ同じで、退役軍人の頑固で偏屈で孤立している男がマージナルな人々と交流して、最後は贖罪へと帰結する。なのでこの映画を観る前に『グラン・トリノ』を観といた方がいいかもしれないけど、『グラン・トリノ』を観るなら『許されざる者』と『ダーティハリー』を観といた方がよくて、『許されざる者』と『ダーティハリー』を観るならイーストウッド主演の一連のマカロニ・ウェスタンを観ておいた方がいいと、イーストウッドループの始まりである。
一回麻薬の運び屋やったらノリノリで次々と仕事請け負っちゃって、しまいには麻薬グループの連中と仲良くなる。稼いだ金は高そうな車買ったり退役軍人クラブに出資したりと羽振りよくなっちゃって、挙句3Pまでやっちゃって運び屋家業に精を出すジジイが活き活きと描かれており、観てていて楽しくなりポークサンドが食べたくなる。女のケツを延々撮っているシーンでイーストウッドって本当にスケベジジイだなと思える。
『グラン・トリノ』と同じくジジイからの説教があって、今回は、若造はネットにばっか頼りやがってというもの。
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