mona

運び屋のmonaのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
-
「イーストウッド88歳の円熟の境地」というような宣伝文句を謳われてますが、そんな肩肘張って観るような映画ではないと思います。

今作を含め近3作におけるイーストウッドの凄さについて、「88歳にして、この軽さ!」という方が的確な表現だとさえ思えます。

普通の監督の演出であれば、映画の一つの見せ場とするであろうDEA部隊の現場潜入も30秒くらいで終わってしまうし、88歳の巨匠と言われるような人がセクシーなお尻を画面一杯に見せてくれるのです。あと、唐突なリップクリームで笑わせるとこ。凄い。

本来、主人公が運び屋の仕事を続けることに関する良心の呵責や家族との不仲における内面的な苦悩なんかも、普通の映画であれば、しっかり描くところかと思いますが、かなりあっさり演出されていて、もはや「イーストウッド」だからこそ成立する面白さがあります。

(アンビリーバボの再現VTRでさえ、もう少し主人公の内面的な描写があるのでは?)

あまりにも色々なことが、あっさり演出され続けるので、イーストウッドはウディアレンと同様に独自に開発したアルゴリズムか何かで自動的に映画を生成しているのではないかとさえ思います。それも、その映画は他の映画の共通言語から少しずれているというような感じ。

正直、この演出を新人監督やマイケル・ベイがやれば、下手くそだなーと思うところが、説明は出来ませんが、イーストウッド作品では、面白いと思えるのです。作り手として、全くもって無欲な感じ、そういう意味でまさに円熟の境地と言えるのではないでしょうか。

私はこの作品をものすごく楽しみましたが、この作品の面白さの理由を全然咀嚼できず、他の映画と比べた相対的な評価はできないため、スコアはなしとしてます。
mona

mona