チーズマン

運び屋のチーズマンのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.1
おや、これはイーストウッドのロード・ムービー!いいねえ。

というわけで『グリーン・ブック』の後に観たんだけど、あの作品はアメリカっぽい伝統的な良きロードムービーを不可分なく踏襲しててそれはそれの良さがあった。

そしてイーストウッドが今のアメリカのロードムービーとしてそんなのを撮るわけなくて、どちらかと言えばその先の道のりを描いてるような感じだった。
この主人公の「アール」は、もはや一緒に旅をする相棒は自分の“置き去りにして来た人生”と、だものね。

どちらの作品もコメディ調なんだけど、この『運び屋』は良い意味で枯れた軽さというかなんというか、ヴィンテージの楽器ならではの古くてからっからに乾いた木からしか出せない鳴りの良さみたいな感じかな。

『グラン・トリノ』以来、11年ぶりの自分が作った映画で自身が主役を演じるとても重要な作品がこんなノリの良い映画だと思わなかったからびっくりして、やっぱ面白い爺さんだなあとニヤニヤしながら観てた。
しかもそれでいてイーストウッドがずっと様々な題材で挑戦してきた“リアル映画”路線の間違いなく最新アップデート版にもなっているところもさすがで、「まあ俺が主人公で俺の人生乗っけりゃ1番リアルだろう」って感じがなんだか自然なノリに思えてしまう。

イーストウッドの一応最低限の責任として弟子に伝えることは伝えたということで、ラストシーンを観るにあとはこの人生の黄昏を、というにはパワフルだけど、後顧の憂いもなくこのじいさんはまだまだ好きに映画作るんだろうなと思ってこちらも清々しい気持ちで劇場を出た。