木葉

運び屋の木葉のレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.1
なぜこんなにも惹きつけられるのか。
なぜ、家族を蔑ろにして、仕事ばかりしてきた男アールに愛おしさを感じてしまうのだろうか。
イーストウッド自身が投影され、彼の魅力が随所随所に散りばめられている。
グラントリノから10年、
今までの過去作とともに、イーストウッド、アメリカの時代の流れを著す私映画な気がしてならない。
ヒューマン、サスペンス、ロードムービーを網羅させ、
序盤は淡々とスローペースで行くのだが、
後半のスリリングな展開と共に畳み掛けられ、一気に引き込まれ、胸が締め付けられる。
ブラッドリークーパーとのやり取りには涙も。
単にある男の家族を蔑ろにしてきた懺悔、贖罪の話だけではなく、
世界が(アメリカも)どんどん狭くなっている中、アールの孤独や、人との交わり方がより一層切なく感じる。
後悔しかない男の生き方が、年老いたからこそ見えてくるもの、生きる上で大切にした方がいいものを生き様を通して見せてくれる。
後悔や過ちの連続でも、
やり直しが出来ない人生でも、
明日小さな花を咲かすことが出来るかもしれない、そんな慎ましやかな希望を抱かせてくれる傑作だ。
木葉

木葉