タカ

運び屋のタカのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
3.9
時間は買えない。誰しもに平等にあるもの。
使い方を失敗するといつか後悔する。
これはそんな男の物語。

クリント・イーストウッド演じる主人公アールは仕事一筋の人間。家庭を顧みず、娘の結婚式もすっぽかすような日々を送る。
彼の中では家庭内の時間はあまり重要ではなく、外の世界で周りから評価されることが第一優先。
仕事が上手くいっているうちは周りにチヤホヤされるからまだ良い。
しかし、ひとたび仕事が上手くいかなくなると外の世界・家庭内の双方で居場所がなくなり、目も当てられない。

鬱屈した日々の中、ふとしたきっかけで彼は麻薬組織の運び屋となる。
怪しい仕事のはずなのにリスクを認識できていない様は仕事一筋の世間知らずで少し痛々しい。
運び屋になってしばらくは馴染みの退役軍人クラブへ大金を寄付したりと外面の良さ・見栄っ張りは変わらない。

運び屋として後戻りできない状態となり、自らを追っている刑事と対面する中で彼は自分にとって大切なものは何か?本当に重要なものは何か?と価値観の再編を迫られる。
命が懸った彼の選択はいかに?

日常の忙しさにかまけていると生活の本質を見失うことがある。
時には立ち止まって「何のために?」と考える時間は大切だ。
取り返しのつかない状況になる前に…
タカ

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