メザシのユージ

薬の神じゃない!のメザシのユージのレビュー・感想・評価

薬の神じゃない!(2018年製作の映画)
3.5
上海にある男性用の回春薬を販売する店の店主チョン・ヨン(シュー・ジェン)は、店の賃料が払えず妻にもあきれられていた。何の喜びもない人生を送っていた彼のもとに、ある日、慢性骨髄性白血病患者のリュ・ショウイーがやって来る。彼は国内で認可された高額な薬の代わりに、インドのジェネリック薬を仕入れてほしいとチョンに頼む。チョンは断るが、大金に目がくらみ、密輸と販売を行うようになる。

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中国の医薬業界改革のきっかけになった、実際の薬の密輸事件を基にした社会派ドラマ。国内で認可されてない薬を密輸するのは「ダラス・バイヤーズクラブ」にも通じるものが。こういった、薬の認可をめぐる事件は様々な国で起きてる話なのだろう。

主人公のチョン・ヨンは最初は人助けではなくあくまで金儲けのため、命こそが金だと言っていたが、中国国内での白血病患者の現実を知ることで「なによりも命」と意識が変わっていく。人助けとはいえ、やってる事は密輸行為になるので警察には目をつけられてしまう。しかし論語にある「何が正しいのかを分かって行動しないのは、勇気がないからだ」を意味する「義を見てせざるは勇なきなり」を実行していくチョン・ヨンや仲間たちに胸が熱くなる。

短いカットで、テンポよく展開していく物語。コメディタッチでありながら、社会的なメッセージを伝えるであるとか、途中の泣かせる演出とか韓国映画にも近いものを感じた。エンターテイメント作品として優秀なとても良き映画。