高価な製薬会社の正規薬を購入できぬ人々のためにインド産ジェネリックを密輸し、検挙された男を描く実話ベースの物語。
実在の「陸勇」という男性は自身が白血病患者で、『ダラス・バイヤーズクラブ』を地で行く人物だったのだが、本作の主人公は客観的な立場から、密輸に携わるという設定。
法改正にも繋がった事件、また中共の検閲も相俟ってややスムース過ぎるエンタメ作品、撮影や編集含め、香港や韓国のコメディ映画と比べても遜色ない出来映えだった。
後半にはシリアス場面も出てくるが、お涙頂戴に頼りすぎぬ演出の塩梅に、中国気質が感じられる。
大陸作品といえばチェン・カイコ―とかチャン・イーモウ、ジャ・ジャンク―らの重厚な作品ばかり想起されるが、2010年代には本作のように軽快な庶民派映画が撮られていたのだなぁと改めて。
主演は近年中国映画界の「いい顔」、シュー・ジェン。
ダメ親父ぶりの際立つ前半とは対照的に、小綺麗になった後半で多彩の表情を発揮していく。