中国で大ヒットしたという社会派エンタメ作品。
上海で強壮剤中心の薬局を営むチョン・ヨンは、妻には去られ金もなく困っていた。そこへ、慢性骨髄性白血病患者の男がやってきて、正規の薬は高くて買えないからインドで作られているジェネリック薬品を密輸してくれないかと頼んできた。最初は気が進まなかったチョンだったが、金のためにインドへ渡り……。
これは！おもしろいし！ボロボロ泣いたよ！！
中国で実際に会った事件を題材にしているのだが、単なる犯罪ものではない。最初は金のために密輸をはじめた主人公が、白血病患者たちの現状や想いを知るうちに変っていく様子が克明に描かれている上に、各キャラクターの心情も丁寧に映し出されていく。
もちろん密輸は犯罪なのだが、正規の治療薬の値段は適正なのか？貧しい者は死んでいくしかないのか？（なお、インド製のジェネリック薬品は治験もパスした確かな商品）という大きな問題があり、最終的に主人公は大義のために自腹を切ってまでジェネリック薬品輸入に人生を賭けることになっていく。
主人公には少しずつ仲間ができていくのだが、彼らのキャラクターも良い。白血病の娘がいるシングルマザー（ストリッパー）を通して、性的に消費される女性の現実にリベンジするシーンなんて、とても良かった。女性の肉体を有しているからではなく、志が同じ仲間だから認め合うんだよってちゃんと伝わってきた。
笑えるシーンも多く、ちょっとした言動でしっかり伏線を張る構成も見事。アクションシーンもなかなかの迫力だし、誰が観ても笑って泣ける庁一級のエンタメ作品に仕上がっている。万人受けするつくりなのでちょっと演出がたっぷりしているきらいもあるが、全然OK！！途中からずーっと涙が止まらなかった。
・ストーリーの起伏と起承転結が完璧
・説明しすぎない
・全員キャラが立っているし芝居が上手い
・細かい伏線がしっかり効いている
・社会的なメッセージが明確
・笑い要素が秀逸でちょうどいい塩梅
・フェミニズム要素など現代的なポイントもしっかり押さえる
・乱闘やカーチェイスなどダイナミックなアクションシーンもしっかり演出
・敵役も単純な人物像ではなく、奥行きがある
こんな感じで、ほぼ非の打ち所がない。老若男女誰にでもおすすめできるし、ぜひ観てもらいたい作品。いますぐ映画館へGO！！
