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ジャンクション29のEDDIEのレビュー・感想・評価

ジャンクション29(2019年製作の映画)
3.2
4つの短編で構成される29歳の男性たちが主人公の群像劇。人生の分岐点に差し掛かり、4者4様の生き様を見せる。
全体的に舞台演技のようで稚拙さすら感じられたが、脇役が演技面で支えている印象。リアリティに欠ける演出が多いのはきつい。

とはいえ、4人の青年の群像劇はなかなか面白かったです。
本日から公開の『うみべの女の子』鑑賞に先立ち、同じウエダアツシ監督作品を観てみました。

10人組の男性グループBOYS AND MENのメンバーから4人が各短編の主人公を演じたみたいですが、私はBOYS AND MENを知りません…。
「ツチノコの夜」「結婚の条件」「バズる」「ジャンクション」の4編でしたが、それぞれの話自体はそれなりに面白いのに、主演の演技や細かい演出、小道具の使い方が気になり高評価には至らず。
もともと前者3編はテレビドラマで放送されていた内容ということで、話はそれなりに面白いんですが、どうしても映画としてはチープさが拭えませんでした。

「ツチノコの夜」は主人公が自主制作映画にこだわりながらも大成していない自称映画監督。同窓会で再開した憧れの女性と友人、先生が入り混じるワンシチュエーションもの。
本田力と佐藤玲、菅原大吉と脇役3人が素晴らしかったですね。佐藤玲ちゃんの小悪魔っぷりがとても良くて、この子になら騙されてもいいかなとさえ思いました。
主演の田中俊介はドラマや映画でも何度か観たことあってそんなに悪い印象はありませんでしたが、主役として見るとちょっときつかったですね。

「結婚の条件」は主人公が結婚相談所で働くカリスマ仲人としてメディアにも注目される存在。風俗店経営者の鳶田のやる気のない結婚相談に乗るところから人生振り回されていきます。
個人的には一番楽しかったですね。これか「ツチノコの夜」が好きでした。
主人公役の水野勝も他の3人と比較すると良かったです。けど、何よりも鳶田役の細田善彦が素晴らしかったですね。彼こそ本編の主人公といえるかもしれません。
中村中を久しぶりに見ました。

「バズる」は主人公が売れないバズチューバー。いわゆるYouTuberですね。サラ金から借金もしており、人生詰んでる状況。バズることを夢見ていても、動画の平均再生回数は20回とかそこら程度。だけど、とあるきっかけでバズったことで起死回生を図っていくという物語。
ストーリーとしては「結婚の条件」と並んでしっかりしていました。ただいかんせん主演の本田剛文の演技が良くない。いや、良いところと悪いところがハッキリしすぎている印象。
バズチューバーとして配信してる時はいい演技してるんだけどな…。まぁあれは素なのか。
それにしても心ないネット民たちが1人のバズチューバーに対して浴びせる誹謗中傷の酷いこと。その辺はリアルでしたね。

「ジャンクション」は主人公が漫画家を夢見る青年。小林豊演じた主人公の丸山はほかの3編とも繋がりのある人物。
作品としてのメッセージもわかりやすく、これをラストに持ってくる意図は理解できますが、残念ながら話が全然面白くない…。
エンドロール後に1シーンあるんですが、その結びが酷すぎて終わり悪ければ全ての印象が悪くなるという感じ。
だって手元に漫画雑誌抱えてるだけで「え?漫画家さんですか?」って普通聞かれないでしょ。意味不明でした。

もともとテレビドラマで放送された3編はそれなりに面白かったのに、最後の「ジャンクション」が面白くなさすぎてこのスコアに落ち着きました。

自宅のテレビで鑑賞するにはちょうど良い気軽さはあるので、主人公たちと同じく30代突入手前とか、人生の分岐点に差し掛かっている人たちには良いメッセージ性はあるかもしれません。

※2021年自宅鑑賞179本目
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