超即死って、なに?
「音を立てたら、即死」のキャッチコピーそのままのアイデアが秀逸だった第1作のコンセプトを引き継ぎ、かつ世界観を拡張させたのが本作『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』である。
主演エミリー・ブラントのプライベートパートナー兼監督兼脚本兼劇中の旦那という大忙しのジョン・クラシンスキー監督は当初、続編には難色を示していたそうだが、出来上がってみたものをみれば、前作の特大ヒットを一切気負わず、正当な続編としてこれ以上ない作品であることがわかる。
前作の終盤で明らかになったクリーチャーの造形が個人的には大好物なのだが、今作では襲撃1日目の大暴れする様子が冒頭から描かれる。音を立てると襲ってくるという情報が観客には与えられているため、いつ襲撃されるのか凄まじい緊迫感に満ちている。
複数の視点から物語が進行する中盤は、緊迫感の中に絶望と希望が入り混じる見事な構成になっていて、心臓バクバクなのに、ハートフルという前作と変わらぬ優しさが嬉しい。このあたり監督の自分の子供へのメッセージだったという一作目のコンセプトを十分引き継いでいる。
微かな音さえ命取り。その極限の状況を映画館で疑似体験できる。まさに映画館でしか味わえない極上の体験だと思う。