えむ

蜜蜂と遠雷のえむのレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
3.7
過去SNSに書いた感想をサルベージ。

観て「映像化不可能と思われた」って説明が腑に落ちた。

ボヘミアン・ラプソディ然り、時々こうして問答無用で劇場で心が振動する作品が現れる。
観るっていうより「感じる」映画。

ただすべて委ねて観るだけで、勝手にそこにある「音」が心を掴んで揺さぶり、理屈ではないところで強制的に動かしてくるやつ。

多分、この手の作品は、頭を使うのではなく、ただそこにいて感覚だけを開いて、何も考えずに五感の全てで「受け取る」だけでいい。

もちろん主軸の物語はあるけれど、苦悩も葛藤も、喜びも、全てを「音」が語ってくれる。

だからこそ、どうせなら音響の良いスクリーンで観て欲しいとも思う。

あと、個人的には主軸になるピアニストたちも良いけれど、私はなんだか、それぞれの形で彼らを見守る、斉藤由貴演じる大会委員長や、会場の支配人役の平田満の視線が好きだったな。

音楽を愛し、そして音楽を愛してる人達を愛してる。
音楽の神様のそんな視線が、彼らを通して伝わってくる気がした。
えむ

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