竹野康治郎

蜜蜂と遠雷の竹野康治郎のレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
3.7
恩田陸さんの原作「蜜蜂と遠雷」の映像化になる作品です。史上初、直木賞と本屋大賞のW受賞した小説です。原作は読みました。非常に面白く、あっという間に読み切りました。

原作を読んだことある方と、ない方によって捉え方違うと思います。私は原作を読んでいるので、こういう切り方をするか!と驚きつつも音楽やピアノコンクールに向かう若者たちへの情熱やリスペクトがたくさん詰まっていたと思います。苦悩と葛藤、繊細さなどの人間的な部分を丁寧に描き、かつ音楽の素晴らしさを伝えてくれるものでした。一方で、4人の物語への深堀は物足りなさを感じました。しかし2時間で濃密な時間を描き切るには限界があり、何をチョイスされているかによって、観た感想は変わってくるかと思います。

音楽という感性的なものでありながらルールや基準はある。その中で個性を出し、互いに刺激し合いながら、彼らはどのようにその一歩を踏み出すのか。小説ではなかった部分への展開は新しい解釈として新鮮でした。原案「蜜蜂と遠雷」を新たに切り取った作品です。

本当に小説が素晴らしすぎることもあり、賛否はあるかもしれません。でも、もっと単純にこの世界を感じて欲しいと思う作品です。というのも、パンフレットの恩田陸さんと石川監督のインタビューを読むと納得します。

ちなみにシネマンションでも動画アップする予定ですので、是非ともお楽しみください!

素晴らしい音楽を是非とも劇場でご覧ください。

2019年公開作品  119本目
竹野康治郎

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