このレビューはネタバレを含みます
天才と凡人の間にある決定的な何か。
音楽や芸術はそれが顕著に見えるものだと感じた。
主人公の彩は天からの贈り物だと言われる天才と出会うことによって自分の殻を破り、天才の「世界が鳴っている」という感覚を超え、「自分が世界を鳴らす」という感覚を得た。
天才は、時に無意識に周りを潰しボロボロにしてしまう災厄となる事もある。
この話においては、天からの恵みとしての働きをしてくれたわけであるが基本的にそうならない事が多いと思う。
音楽家や芸術家等の表現者は一瞬を永遠にする能力を持っていなければならない。
その能力を得るためだけに一生を使い果たす人間がほとんどであり、そのうちでもひと握りの人間しか得ることが出来ない。
自分はいつしか得ることができるだろうか。
考えても無駄なので、いつでもどこでもその能力を持ちたいという思いと、持っているという自意識を背負って生きていきたい。