北大路モンロー

蜜蜂と遠雷の北大路モンローのレビュー・感想・評価

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)
3.7
まことのことばは失われ
雲はちぎれて空をとぶ
ああかがやきの四月の底を
はぎしり燃えてゆききする
おれはひとりの修羅なのだ


恐らく原作をかなり凝縮したつくりになっているので駆け足感は否めませんが、そのおかげで逆に原作読みたい欲がかなり強まります!
松岡さんは髪の先まで自分を美しく魅せることに長けていて、弾く姿にうっとりしてしまいました。
森崎さんはレディプレのあの台詞から推していますが、贔屓目抜きで「役者が演じている」匂いがしない圧倒的な演技力!なるほどね、のシーンが特に素晴らしいです。

同じ譜面でも奏者の持つ個性で音が変わるクラシックの楽しさ、苦しさ、いつくしみをわかりやすく表現しており(勿論クラシック以外でも)、観賞後に遮るもののないばしょで目を閉じて、花がひらく音に耳をそばだてたくなるような、そんな映画でした。

思わず一文めに出してしまいましたが大大大好きな宮沢賢治とドビュッシーの月の光。

大好きなものが詰まっていました。
なにかにひた向きになった事がある人やなにかを諦めた人、コンクールという才覚や努力でないきちんと基礎ができ、調和ときらめきのある人を選出する大会に出たことのある人へ、わすれもの(おもいので業とおいてきた)を今さら届けられる映画です。
わすれものの形によっては感想が大きく変わると思いますが、辛くて美しくて涙が出ました。

この映画とピアノが好きで、もし未読であればピアノの森という漫画をどうぞ。わたしは蜜蜂と遠雷の原作を読みます。


片桐はいり★★★★★…無限