超一流のコンクールに出場した、若きピアニスト達の物語。
主な登場人物は四人。
その中で、松坂桃李が演じる"お父さんピアニスト"には、強く感情が入りました。
彼は、仕事、家庭、音楽、この全てを両立させながら、音楽の専門家達へ戦いを挑みます。
彼の音楽に対しての情熱が伝わってきます。熱い。
が、、、
他の三人については全く感情が入らない。
というか、感情の入れようがないんです。
"お父さんピアニスト"で描かれているような、内面的、環境的な描写が他の三人には全くされていません。
だから、三人からは、音楽に対する情熱が、これっぽっちも伝わってこない。
また、三人とも天才らしいけど、過去の描写がないので、いったいどれほどの天才なのか?、説得力が全くない。
きっと原作の中では、親子愛、師弟愛、トップに君臨することの重圧、などなどが、熱く厚く語られているんだと思います。
ところが、この映画は、400字詰め原稿用紙10枚程度の薄っぺらいストーリーです。
評判の良い演奏シーンも、自分には茶番に見えました。
俳優さん本人が演奏しているわけではないので(ご本人が弾いているシーンもあります)、
歌で言うと口パク、、
【音】と【体の動き】がズレてるんです。
意地の悪い姑みたいでごめんなさい。違和感ばかり感じてました。
『ララランド』のライアン・ゴズリングの様に、練習して自分で演奏しろとは言いません。
でも、自分が演奏しているように見せかける努力はして欲しかった。
酷評にはきちんと理由を付けたいので長くなりましたが最後に。私は自分で映画を作ったことなどありません。
そんな素人が生意気なこと言いますが、この映画は、
全面的に脚本の失敗
です。
『ちはやふる』の様に、前、中、後編に分けて制作し、一人ひとりの登場人物を丁寧に描写すれば、きっと、とんでもない名作に化けたと思います。
原作小説が大変素晴らしい作品らしいので、もったいないと思いました。