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ちいさな独裁者のsobayuのレビュー・感想・評価

ちいさな独裁者(2017年製作の映画)
4.0
予告を見て期待していた通り面白かった。皮肉なわらしべ長者。どこまで史実に沿っているんだろうと思ったら描かれる出来事はほぼ実際に起きていて驚いた。一兵卒だった主人公が”最終解決”を思いついたのは、やはり当時から国防軍にもナチスの蛮行が知れ渡っていたからなのか。単に目の前の顔色を読んで相手が求めることをやったのか。どちらもあるんだろうな。

ラストカットがやや消化不良というか、どういう風に取ったらいいか迷う。ナチ将校を騙ったことで報いを受ける様が描かれると思っていたので。藤子不二雄A的なオチというか。でも後で監督インタビューを読んだら「キャラクターを裁く視線で作ることはできない」「多くの映画は観客に逃げ道(感情の持っていきどころ)を用意するが今作にはない」というようなことを語っていてとても納得した。「ドイツでは長いこと”国防軍はナチスの蛮行を知らなかった”とされていた。歴史修正に対して声高に表現しなければならない」

元は白黒映画なのに日本だけカラー公開された問題。私はこの映画が全編白黒だったならまだ諦めがつくけど、もしかしてEDロールの部分はカラーだったんじゃないか?と思って、だとしたら絶対に白黒verで観たかった。シンドラーのリストと同じで、対比が大切な演出として使われてるならそりゃそれを体感したい。
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