EDDIE

ちいさな独裁者のEDDIEのレビュー・感想・評価

ちいさな独裁者(2017年製作の映画)
4.5
二度と起きてほしくない、第二次世界大戦時にあった実際の話。
当時兵士の軍規違反や脱走兵問題があり、そのうちの1人だった本作主人公のヘロルト。
命からがら生き延びた先に、大尉軍服が残されており、これを盗んだところから物語は動き出します。
脱走兵ながらも大尉の権威を手にした若者は、その権力を振りかざし、道中で仲間を作り親衛隊を結成。

本作はひと言で面白いとか面白くないとか感想が言える内容ではありません。
とにかく戦時中に起きた残虐な事件を二度と繰り返さぬように、我々自身も教訓としなければいけないなと感じました。
自身も脱走兵だったにも関わらず、その気持ちを慮ることはなく、彼ら脱走兵の人権を無視した大量虐殺を実行したシーンは目を覆いたくなるほど。かなり悲惨です。
ただそれでもこの厳しい時代に生き残っていくために、毅然とした態度で制裁を実行する迷いのなさには頭が上がりません。もちろん許されることではありませんが。

ヘロルトの最初の配下で側近的な役割を果たすフライターク。この役者さんの演技は見事でしたね。20歳そこそこの青年、本当にこんな奴が大尉なのか?と疑うような眼差しを飛ばしながらも、権力には逆らわず、いざヘロルトの秘密を知ってしまった時も彼を立てることに徹しました。
明確に大尉ではない確証がない以上、権力には逆らえないという当時の辛い実情を垣間見た気がします。

理由がなんであれ、やはり不正に手を染めることは許されません。現代では不正会計をはじめとして、上司の指示に泣く泣く従って明るみに出たような事件も多くあります。いくら上司の指示で逆らえなくとも、犯罪には手を染めてはいけませんよ、と。
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