ちいさな独裁者の作品情報・感想・評価

「ちいさな独裁者」に投稿された感想・評価

10円様

10円様の感想・評価

3.6
アルバトロス配給という事でやや不安な気持ちで鑑賞しましたが全編乾いた映像と極度の緊張感が張り巡らされあっと言う間に時間が経ってました。最近のナチスドイツの映画といったらアルバトロスが結びつくのですが気のせいかな?たまにこんな良作を持ってくるのですからアルバトロス恐るべしです💦

この緊張感はどこからくる緊張感なのか、いつ正体がバレるかもしれないヴィリーヘロルトの心理描写が作り出したものなのか、または分けも分からないまま死を待つ収容者達のものなのか。ヴィリーが初めて将校の軍服を着た時からあれよあれよと言う間に取り返しのつかないところまで来てしまった。私はこの行為が果たして全くの極悪なのかと聞かれれば簡単に頷くことはできない。あの秩序を叫べども何が秩序か分からない混沌とした時代に、二十歳そこそこの青年が仮初めだとしても権力を手にしてしまったら、生き残るために当時の世情に倣った行動をとるのではないか。逆に敗残兵を率いる統率力、蛮行を即決させる行動力、周囲を納得させる話術や演技力、自分では手を下さず部下に処刑を託す狡猾さなどは感服してしまう。これはまるでヒトラーの生き写しではないか。

最初は生き残るための術だった。とても必死なのだというのが分かった。しかし収容所での最初の大量処刑を機に無気力の中でただただ演じる事になっていったような気がする。実際逮捕された時の尋問でヴィリーは「何故処刑したのか分からない」と言っているそうだ。私はこの男もヒトラー政権下の被害者に思えてしかたない。映画では語られていなかったが、彼は真っ当な裁判を受けて斬首刑に処される。うん、たぶんこれが彼にとっても良い最期なのだと思う。

娯楽映画で活躍しているロベルトシュベンケ監督。こんな静かな映画も作るんだね。ただ砲弾で人間が吹っ飛ぶ描写とか、明らかに偽物っぽい白骨死体が散乱しているシーンとかはアルバトロスフィルムって感じでした。
ラッキーボーイ
エンドロール素敵
支配の気持ちよさに浸ると人間こうなるのか
それにしても、これも現実にあったことなのだから恐ろしい
平和な時代に生まれてよかったと考えされられる
実話な事に驚いた
エンドロール
監督の言葉がよい
勝智

勝智の感想・評価

3.5
内容は御周知の通りですが、権力握るとやりたい放題やってしまうところはまるでお子様。
ラストのスタッフロールが遊び心あって面白かったです。
部分的にですが、本作を観て「痛快」だと感じてしまった僕は頭がおかしいのかもしれません。

若いドイツ兵が大尉と身分を偽り、同胞であるドイツ兵たちを皆殺しにする話ですから。

しかも、惨めったらしい日々を過ごしていた脱走兵が権力を手にした途端に、自己保身のために自分と同じ立場であった脱走兵を殺しまくるわけです。本当に胸糞悪い話ですよ。

であるにも関わらず、主人公の嘘が面白いほど通用してしまい、権力を掌握していく過程がどこか痛快であるとうのは本作の危険な部分であり、同時に狙いかと思います。

と言うのも、本作はどこかピカレスクロマン(ピカレスク小説)っぽいのです。

ピカレスクロマンとは社会的弱者である小悪党が(不条理な)社会の中でのし上がっていく物語のことです。映画で言うと『バリー・リンドン』『スカーフェイス』『ジョーカー』などがその系統ですね。

主人公のやることは人の道に反する立派な犯罪なのですが、弱者が富や権力を持つ者を倒していく行為が潜在的な共感を呼びやすいのが特徴でしょーか。

どこか痛快であるというのは、このピカレスクロマンのフォーマットが用いられている効果かと。

で、本作はそんな悪党活躍物語をナチスにおけるサクセスストーリーとして描いているという恐れ知らずな一本です。
Hama

Hamaの感想・評価

3.7
2019.60
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