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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のDのレビュー・感想・評価

4.3
意外性に満ちた事件の真相と、緻密に張り巡らされた伏線の数々が、まるで時計仕掛けのように美しく噛み合っていく。
物語の構成はまさに教科書的。登場人物の配置、情報の開示タイミング、視点の誘導……すべてが計算され尽くしていて、観る者を巧みに翻弄しながらも、最後には鮮やかに着地する。これは“謎解き”というより、“構造美”を味わう映画だ。
そして何より、この作品はアガサ・クリスティをはじめとする古典ミステリの系譜にしっかりと連なっている。だが単なるオマージュではなく、現代的なテーマやユーモアを織り交ぜることで、ジャンルの再定義に挑んでいる点が見事。
“ナイフのように鋭く、芸術品のように精緻”……そんな言葉が似合う一作だった。
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