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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のkoyaのレビュー・感想・評価

4.5
アガサ・クリスティーをはじめ、昔の推理小説、コージー・ミステリの大道、いえる設定がうれしい。

すごく懐かしい雰囲気の設定ですが、スマホなどが活躍して現代の物語でもある、というところが素敵。

大きな館、大富豪(金持)の謎の死、遺産をめぐってあやしい親族たちがぞろぞろ出てきて、名探偵登場。

そして最後に皆を集めて、謎解き、みたいな。

ミス・マープルというより、ダニエル・クレイグ演じる名探偵ブランは、「灰色の脳細胞」エルキュール・ポワロの若いころみたいでまた嬉しい。

舞台はアメリカです。

人気ミステリ作家のハラン・ソーンビー(クリストファ・プラマー)の85歳の誕生パーティに集まった親族たち。

しかし、パーティが終わった後、ソーンピーはナイフで首を切り、死んでいました。
自殺なのか、他殺なのか?

娘や息子、孫・・・・・・それぞれがお金に困っていたり、出版をまかされている次男は、電子書籍化、映像化を嫌がる作家をなんとか説き伏せようとしているし、娘婿は浮気しているし、孫は働く事なく遊んで暮らしている。

そこへ、警察と一緒に探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・グレイグ)もやってくる。匿名の手紙で「犯人を捕まえてくれ」という謎の依頼人から事件解決を依頼されていたのでした。

親族のほかには使用人、高齢のソーンビー専属の看護婦などがいますが、遺書には意外な人物が相続を継ぐようにと明記されていました。

この遺書を読み上げる弁護士をフランク・オズがやっています。

私は原題のKnives Outというのが、ちょっとピンと来なくて、辞書を引いたり、ネットで調べてみたのですが、knife outで特別な何かを示すって事はないようでした。(under knifeだったら’手術中’)

ただ、この大豪邸、内装は結構ごてごてしていてちょっと悪趣味っぽいのですね。
ナイフのコレクション展示などされています。これが結構何度も出てきます。

あとIMDBで、ブランの台詞に
"When people get desperate, the knives come out."
とあったり、ナイフの刃が出る状態の事でもあるようです。


確かに、遺産をめぐってギリギリしあう遺族たち、ナイフちらつかせてるような雰囲気ですよね。

遺産相続泥沼試合って、他人事だとミステリ小説で楽しめるのですが、どうもね、2年前父が亡くなった後に相続税も発生しないような額なのに何もしなかった親族がわあーとむらがってきて、びっくり・・・・・・なんて事が自分にもあったので、観客である私、少々気持複雑です。

親族には、ジェイミー・リー・カーティス、トニ・コレット、クリス・エヴァンスなどがおり、誰もがお金が欲しい理由がある。

こういう映画は予備知識なく、謎解きを楽しんだ方がいいと思います。

あらかじめ、常識として知っていなければならない事はなく、こういうのを真の娯楽映画って言うのですね。

衣装がとても凝っていて、ジェイミー・リー・カーティスはきつもきちっとしたスーツ、反してトニ・コレットはひらひらしたドレス、金持らしい高価な衣装を身にまとっています。

英語圏ではない私にはわからなかったのですが、ダニエル・クレイグは南部なまりを話す、というくだりがあり、クレジットに dialect coachとありましたね。日本で言う方言指導。

何か原作があるのかと思ったら、監督のオリジナル脚本で最後の最後まで罠があってなかなかよくできた話でした。

コージー・ミステリファンは楽しめると思います。

ただ、犯人は誰?だけでなく色々な遺族の色々な思惑が交錯するあたり、小物使いや伏線、なかなかよくできていました。

原作小説があってもいいくらいです。
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