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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のkenのレビュー・感想・評価

4.3
ダニエル・クレイグといえば、007ジェームズ・ボンドが余りにも有名だが、私立探偵ブノワ役はエルキュール・ポアロを彷彿させる役柄を好演していて存分に楽しめた。親族の調査にあたり、自殺したと見られているミステリー作家で富豪のハーラン(クリストファー・プラマー)の専属看護師マルタ(アナ・デ・アルマス)を助手として指名する。その際、シャーロック・ホームズ気取りで彼女をワトソン君と呼んだのは聞き逃さなかった。マルタは正直で思いやりがあり、愛すべき人柄の可愛い女性である。

親族も豪華キャストで固めていて、経験豊富な俳優陣の演技は見応えがあり物語に惹き込まれた。やはり、自殺に至ったミステリーをブノアが謎解きしていく過程が一番面白かった。マルタは嘘をつけない体質から明るみになる事実で協力しながらも、ある事をしようとする姿が可愛らしく内心笑えた。

ハーランは親族一同が自ら築き上げた莫大な財産をどれだけ相続できるかしか考えていないことを知っていた。そして、誰もが真に自立して必死で仕事をしていないことも知っていた。ハーランの脛をいつまでもかじっているに過ぎず、財産相続で骨肉の争いとなり家族の絆さえも壊れる可能性は想像に難くない。それに早くからハーランは気づいていたのだ。その為、一から出直させることが、一番の家族の幸せに繋がると決断したに違いない。

既に、ライアン・ジョンソン監督が続編の準備を進行しているという。本作の今後において、どの様な新たな事件が起きてダニエルとアナが活躍するのか今から凄く楽しみである。
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