bluemomday0105

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のbluemomday0105のネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

【覚悟はいいかそこの勝ち組】
面白かった! パラサイト同様格差問題も扱ってるけど、こちらは人の善性を諦めない内容だから、ちゃんとスカッとUSA。昨秋、ジョーカーのフォローにハイローを観てリハビリした私のような人間には、パラサイトの後に摂取することをおすすめします。

一代で巨万の富を築き上げた小説家が、85歳の誕生日に謎の死を遂げた。一旦自殺と収められた死因だが、ある匿名の依頼により探偵ブノワ・ブランが解明に参加する。家族や家政婦、通いの看護婦を第一容疑者と見なし、取り調べを行ううち、それぞれの家族との諍いが露見するが、容疑としてはどれも弱い。果たして、小説家は自殺か他殺か。またその死因は?

監督ライアン・ジョンソンが敬愛する、アガサ・クリスティ風のオーソドックスなミステリーだけど、序盤に死の現場に遭遇した看護婦マルタの医療ミスが示される。ベネズエラ移民の彼女には不法滞在中の母親がおり、検挙されると非常に不都合。しかし、ブランに目をつけられて捜査に協力することになる。
嘘をつくと嘔吐する癖があるマルタ、縛りプレイに苦慮しつつブランをかわそうとする辺りはユーモラス。
最終的にマルタの善性が彼女自身を救うことになるんだから、本当胸スカ。

そしてマルタを「家族のように思ってる」と言いながら、遺産が全て彼女のものになることを知った瞬間罵りまくる遺族が本当に滑稽で醜い。そもそも誰ひとり経済的に自立してるとは言い難い状況なのにでかい面してんのな!特にインスタグラマー親子が無理無理ィィ。

因みにこの一家、「自分が成し遂げたわけでなく過去の先人のおかげなのにドヤ顔してる、リベラル気取りながら偏見に満ちた下品なアメリカ富裕層」のメタファーとも言えるわね…。
散々原住民や移民を搾取しておきながら上品ぶったいけすかない人達。
ブラジルとベネズエラの区別もつかないことを恥とも思わない、リスペクトに欠けたような。

ほんでアッ!と思ったんだけど。
ライアン・ジョンソンといえばスターウォーズEP8の監督で、この作品は賛否両論だったんですが、その一因にケリー・マリー・トラン演じるローズの存在があったように感じて。

確かにローズ、出番の割に貢献してへんよなと思ったけど、ジャージャービンクス以上に叩かれてたし、役柄を越えてケリーのSNSにも嫌がらせコメントが絶えず、結局インスタ削除することに。EP9でも出番は大幅に減ってたらしく…。もしマーゴット・ロビーが演じてたら、ここまで炎上しただろうかと思うよね。
ライアン・ジョンソンも非白人蔑視の状況に思うところあっただろうし、設定に影響与えてた所もあるかもと。ほんま広瀬すずちゃんにコロナウィルス~とかコメントつけてる場合じゃないぜよ…

そんな熱いメッセージと、ダニクレに南部の古畑任三郎、クリエヴァにキャップが怒りそうなお口の悪いクソボンボンをあてがうような、パブリックイメージと真逆の配役は楽しかったw
クリエヴァ、ギフテッドと違って見た目はキャップなのに全然違うから演技力~~!!ってなりました。
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