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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のt0moriのレビュー・感想・評価

4.3
予告編は概要をよく表してはいるものの、作りや煽りに、どうも地雷の匂いがしていたが、観てみればよく出来た倒叙ミステリーの秀作だった。キャスティングが豪華すぎたのが、かえって胡散臭く見えて、損をしていた様にも思う。実際には主演のアナ・デ・アルマスちゃんは相変わらず可愛いし、ダニエル・クレイグの探偵も、抜けて見えて抜け目のない、この手の作品に定番のキャラを好演していた。トニ・コレットは、その内悪魔憑きになって暴れだすんじゃないかと気が気でなかったが、思い過ごしだったw

コロンボと言うより古畑任三郎のそれに近い、軽妙でコメディ要素の多い展開の中、分かりやすく絶妙な絵作りで貼られた伏線と、それが終盤できれいに回収されていく様が気持ちいい。すっきりと観られるミステリー映画。

クライマックスのアレは、今時それ?!とずっこけたくなるオチだが、そう思われるのを逆手に取った感じで、逆にそれがいい。ラストの絵作りや冒頭の意味深すぎる小道具の使い方も巧い。と言うか、絵作りに関しては随所に光るものがあり、ミステリーとして実にいい塩梅で、観客の記憶に残る切り取り方をしていて感心した。

やはりライアン・ジョンソンって才能あるな、と唸らされた一本。

また作品のテーマ的にも、「徹底して自らのルールを守る」と言うことが、某人気シリーズのep.8である前作で、一部のファンから徹底して叩かれた事に対する、作家としての作品での表明にも思え、そこもまた頼もしく感じた。ep.8肯定派に取っては、快哉を叫びたい気分だった。次回作にも期待したい。
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