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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密の教授のレビュー・感想・評価

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ミステリーというものに明るくないので確実な意見ではないが、古典的なミステリー的な風合いだと思うが、個人的には「金田一!」という感想を持ってしまった。
というよりも「金田一少年の事件簿」なのか「名探偵コナン」なのか…あるいは「古畑任三郎」なのかもしれないが…。
全く違うと言えば違うのかもしれないし、同質のものと言えば言えなくもない…という感じが拭えなかった。
それが良くも悪くもフワフワしてしまって大絶賛という気持ちにはなれなかったが、それなりには面白く観ることができたのは、俳優たちの演技の力強さと、ライアン・ジョンソンの「才気」走ったフレッシュな演出、だと思う。

ただ…実力者揃いの俳優陣が揃って、この内容は軽過ぎないか?という感も同時にあって、個々の俳優たちの実力が申し分なく発揮されたのか、あるいは映画としての味わいが描写の中に入れ込まれてあったのか…というと途端にモヤモヤしてしまう。

個人的には、誰が犯人でも、自殺であったとしても、その結末については正直どうでもよく。
どう物語が転がっていくか、またその事件に対してどういう物語が炙り出されていくか、を観たいと思うのだが、そこがよくわからないというのが感想。

「現代」というものが、近年の作品同様織り込まれてはいるが…そこに対してもなかなか上手に目配せをしている感もあるのだが。
例えば「移民」の問題であったり、格差や資本主義の現実であったり、あるいは家族の問題であったり…が、分かり易すぎるストーリーの「添え物」的に機能していて、余計にエンターテイメントとしては弱点につながっている印象。

とはいえ、面白い作品であることには違いない。

追記:「ネトウヨ」とか「パヨク」みたいな独特なネットスラングを翻訳で使うのや、その他にもいくつか個人的にとっても不快な翻訳が多かったのは残念。
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