つかれぐま

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のつかれぐまのレビュー・感想・評価

4.0
ライアン・ジョンソンの矜持

スターウォーズの大失敗を横目に、ちゃっかり傑作を作っていたライアン・ジョンソン。ボロクソ言われても「最後のジェダイ」で彼が試みたこと・・こういうツイストは映画の醍醐味。

まずはネタバレなしで。
明らかに(そして意図的に)アガサクリスティ風の古典的展開を思わせる冒頭。「あー、これ人の顔やら名前やら覚えなくちゃいけないやつだ~」と気が重くなったのも束の間、早々に真相が判明。「古畑任三郎」が好きな私には、この倒叙形式は大歓迎。そして、このハーランとマルタの「最初で最後の」シーンが実に良かった。あの状況で、躊躇いも見せずに決断するハーランの何たる潔さ。この人の人生は間違いじゃない。そう思わせるクリストファープラマーの好演。アナ・デ・アルマスも可愛いだけじゃない「慈愛」を見せてくれるいいシーンだった。「グラントリノ」を思い出させる頑固爺さんと移民の若者の素晴らしき関係。

以降の展開についての感想はネタバレコメントに書くが、「悪人は善人の行動が読めない」とか「善き行いこそが負の連鎖を止める」という決着のつけ方が爽快、見事な脚本だ。探偵が最後にマルタに言った「君は(ハーランの教えではなく)君のやり方で・・」という言葉は、「最後のジェダイ」を、まさに自分のやり方で作ったライアンジョンソン自身の矜持。そんな解釈もできるかな。

それにしても、スロンビー一族の揃いも揃ってのクソっぷり。犠牲者は出てしまったが、この一家に一泡吹かせた後味の良さ。展開のツイストと同様に、古典的世界観か?と思わせてからの、現代的メッセージへの着地だった。惜しむらくは、一応の主役たる探偵ブランの存在感の無さ。ダニエルクレイグの南部訛りを解する英語力があればまた別なのだろうが、そこが残念。
   
ネタバレ感想はコメントに。