かど

ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のかどのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

展開が面白かった!

マルタが良い子っていう印象を一度付けられると、本来善であるはずの名探偵すらも敵に見える。
それが新鮮。

この映画で終始見られる、
「人の見え方・多面性」というものに通ずるような。

ハーランを取り巻く一族の人々全員に、欲望によって剥がされる裏の顔が(こちらが真実なのだろうが)ある。

ブランもまた、捉え方によって
「真実を暴く善」にも、
「かわいそうな女性を追い詰める悪」
にもなり得る。

そして、マルタも然り。
犯罪者でもあり、被害者でもあり…

ただ、ブランとマルタがハーラン一族と異なるのは、
「他者によって様々な見方をされている」だけで、本人は一貫している。
事実を追い求めるブランと、
ハーランからの指名を遂行しようとするマルタ。

他の方のレビューを見ていると、人種差別問題を絡めて考えられるみたいだから、
同じようにも考察できそう。

「従順な看護師」と言われたり、
「移民」だと言われたり、
「マルタを犯人にしてくれる有難き存在」になったり、
「訛りのある憎たらしい存在」になったり。

周りから勝手に様々なラベルを貼られ、勝手に扱いを変えられる2人。
それでも最後は完全に、完膚なきまでに勝利するところに意味を感じる。

ラストのシーン、
マルタが見下ろし、
「私の家」…くぅーっ痺れる!
痺れるぜこの演出!!
しかも調べたら偶然思いついた演出らしいやん…好き…(笑)

ナイフとドーナツという何度も出てくるワードが組み合わさったオブジェ?が要所要所で象徴的に写されるのも興味深い。

一見軽いエンターテインメント映画に見えつつも、実は深いのかも。

実際にここまでランサムの話一個もしてへんもんな。(笑)
確かにランサムの事は実はあんまり心に残ってなくて(しっかり「改心したん?」と騙されたが)、それよりも前述してきたような様さな登場人物の「人」としての描かれ方が面白い。

そんな映画でした。
かど

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