ギルド

僕たちは希望という名の列車に乗ったのギルドのレビュー・感想・評価

4.5
冷戦下の東ドイツのエリート高校生たちがソ連の軍事介入に対するハンガリーの民衆に黙祷を行ったが、それ故に当局から進路を揺るがしかねない事態に突入する実話に基づいたドラマ映画。

 事実は小説よりも奇なり、と言われるが事実ベースのストーリーラインに確かな演技力・演出で若者の主張/青春に厚みを持たせた味わい深い一作でした。
あまり演技の良さについては語らない私ですが、この映画についてはキャスト陣の演技で一気に心掴まれる部分が数多い名演を楽しめます。顔の表情から声の緩急の付け方まで感情表現が多層的で普遍的なものに落とし込むところが良かったです。
そこが本作の一番の見どころであり、政治的な主張と大人たちとの衝突を通じて普遍的でエモーショナルなものに仕上げていると言っても過言ではないと思います!

 自由を謳歌する・大人と子供という支配する-される関係性がどう変化するか?を押し出した映画でテーマ自体はありふれたものではあるものの、青春ドラマとしての青臭さに加えて血族を越えた家族的温かさ・損得を越えた強い絆を描いたところが本作の政治的しがらみという根深い背景とマッチしていて非常に分かりやすかったかな。
子供の主張も親の主張も正しく、将来の進路と仲間との絆という究極の選択肢に揺らぎ選択する姿に心が掴まれると思います!台詞がなくても映像での説得力が高いし、照度の変化/ちょっとした仕草でもたらす希望の描き方も見事でした。

 いわばテーマ性がシンプルであっても演技・演出で厚みが増した素晴らしい映画に仕上げられる、を証明した映画に感じました。名演が見たい人にオススメできる作品です!
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