にくそん

僕たちは希望という名の列車に乗ったのにくそんのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ずいぶん軽いノリで黙祷しちゃうもんだね、と最初は思ったけど、18歳ぐらいの子が正義感を持つのって大切なことだと思う。ノリでもニワカでも。政治に自分の生活の保障や利益ではなく、自分が思う正義を求めることができるのは、たぶん働き始める(働き始めることを具体的に意識する)前までだから。

男子みんなかわいい。顔もかわいいし言動がかわいい。すぐ底の浅いことを言ってバカだと思うけど、そんな子らが追いつめられて追いつめられて急にたくましくなるさまは感動的だった。女子はレナのキャラが残念。高校生で男子よりガキっぽい女子もなかなか珍しい。姉妹は素敵だった。

3組の父親と息子の話にもなっていた。男の子が自分の父親を誇りに思えなくなるっていうのは、胸がつぶれるような悲しいことなんだろうねと、これは想像するばかり。すぐ怒鳴るジジイが警察で書類にサインして息子を“墓参”に行かせるシーンは胸が熱くなる(しかし、あのジジイの自分の奥さんに対する態度にはむかむかさせられたので、感動してしまって悔しい)。

終わってみれば、実話ベースの社会派映画というより、王道の青春映画だった。友情とか青臭い正義感とか挫折とか恋とか親友との三角関係とか、正しい青春映画のレシピ。映像やシーン中の時間の使い方がよくて、テンポのいいストーリーテリングと芸術性が両立していた。私の周りにいる誰にでも薦められる映画で、そういうのはありそうでなかなかない。上映がもう終わってしまうから薦めないけど。
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