塩

僕たちは希望という名の列車に乗ったの塩のレビュー・感想・評価

4.0
たとえその先が「絶望」と呼ばれようと、僕たちはそれを「希望」と呼ぶだろう。

冷戦下、西と東に分断された後の東ドイツ。西の情報に触れてしまったことが途端に大事となり、少年少女らの人生を揺らがす事態となる。彼らの信念を賭けた苦渋の決断を描く。

争いの恐ろしさを知るが故に素顔を偽って暮らす親世代と、生きる術を知らない無垢で純潔な若者。世間もろくに知らない少年少女らであるから後先考えず己を貫き、心のある人間であり続けようする姿には、間違いなく心揺さぶられる。
非道な大人たちに圧されながらも、自身が同じ世代、環境、立場ならば、何を捨てて何を守るのか。改めて暗い過去を見つめ直すきっかけとなる作品でした。
塩