RIKAO

僕たちは希望という名の列車に乗ったのRIKAOのレビュー・感想・評価

4.2
ベルリンの壁が出来る5年前の話 高校生達の行動に国家が介入してくるなんて…改めて自由の尊さ貫く事の難しさこの時代の悲劇を知った

1956年東ドイツでの高校生達のある行動が引き金となり 政治的問題へ発展 胸が苦しくなる青春群像 実話 ベルリンの壁が作られるのはこれから5年後だがそれまでは検閲はあったものの列車で往来は出来ていた

冒頭では高校卒業を控えたクルトと親友テオが西ドイツへ祖父のお墓参りに行くという所から始まる 西ドイツの自由な雰囲気にはしゃぐ無邪気な二人 自由への憧れが募り アメリカからのラジオを違法(そんな事もダメなの…)に傍受して聴ける 同級生のおじさんの家に集まったりし自由な未来が来るという期待を抱く

ある日ハンガリー民衆蜂起ニュースに黙祷を捧げようとクラスで提案したのはクルト 多数決で黙祷する事にクラスで決めて 黙祷した事が問題となり 国家まで介入し 発起人の犯人探しが始まる…
(サッカー好きなのでプスカシュの事は知っていました レアル・マドリードにも在籍したFW世界的に有名なレジェンドですよね)

クルト テオの友情やクラスメイトそれぞれの家庭環境の違いから 政府に対してどういう答えをしたら 捕まらないか
皆で作を練ったりするんだけど
進学クラスの子達だけあって皆凄く
勉強したいという気持ちが強くて
学校の進学クラス(大学へ行く)というのが
どれだけ大変優秀で栄誉な事かわかる

親友でありながら 相手を思いやりつつ
恋愛感情の絡みもあり…
立場家庭環境の違い
密告する事で自身はエリートの道
友達は牢獄へ…思い悩む
テオは労働者階級の息子で家系内では初めての進学クラス
クルトは議員の息子ではあるけど
政府よりの父親モラハラされまくりの母
そういう所で
微妙に行動に歪みが入る感じが胸を締め付けられる
また父親達も息子を思いやっての
助言や行動 そういう事しか出来ないのが
悲しい

政府も犯人探しに 生徒一人づつに
卑怯な揺さぶりをかけてきて心底酷いと
思うがコレが普通だったんだろうなと
本当に恐ろしかった
一番ビックリしたのは
高校の授業で銃撃があった事 考えられない

クラスメイト達の心の葛藤や揺れ
を見事に描いていて ラストにどんな結末が待つのか…最後まで惹き込まれ
決断の先には何が待つのか
色々と思い考えさせられる作品だった

自分が高校生の頃を思うと恥ずかしいわ
思想を抱いたり討論したりなんて無く
こんな歳まできてしまって…
この子達今どうしているのだろう
とても気になる どうか幸せであって欲しい!
RIKAO

RIKAO