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象は静かに座っているのdiesixxのレビュー・感想・評価

象は静かに座っている(2018年製作の映画)
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フー・ボー監督の長編第1作にして遺作。
触れると壊れてしまうほどナイーブで、そのくせ世界を全身で拒み、呪うような攻撃性に満ちたみずみずしさと諦観が同居する驚異の4時間。フィルムに横溢する濃密な死を文字通り死守した監督の絶望の深さを思う。

曇天ばかりを選んだよなロケーションと、彩度を落としたグレーディング、被写界深度が極度に浅く薄靄かかった様な背景などルックそのものに暗澹とした空気が漂う。登場人物を背中から追う擬似的な主観ショットが多用され、ガス・ヴァン・サントの一連の作品、特にタイトルも含めて『エレファント』へのオマージュを想起する人も多いのでは。

天賦の才能を感じつつ、たびたび寝落ちしてしまったことも告白しておく。尺をめぐって製作サイドと対立し、追い詰められた監督。ストリーミング 全盛の今だったら、結末は違っただろうか。
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