NAOKI

ウエスト・サイド・ストーリーのNAOKIのレビュー・感想・評価

3.6
だってスピルバーグなんだもん…て話し(笑)

映画は(バカ映画から神映画まで)ジャンルを問わず何でも来い!なんですが…

唯一「ミュージカル映画」だけは昔から苦手で…

もちろん音楽は大好きなんですが、映画音楽はその他の要素「脚本」「映像」「演技」などと同列に並んでこそ!と思っているところがあります。

その音楽やダンスが主役になってしまうとどうしても「映画」としては好きになれないのです。

だってその「音楽」が自分の好みかどうか?でその映画に対しての好き嫌いが決まってしまうじゃないですか!
だから(おそらくミュージカル映画?)あの「ブルース・ブラザース」は大好きなわけです。(アレサ・フランクリンに黙祷…(泣)

「ウエストサイド・ストーリー」の予告を観た時、「スピルバーグの新作だぁ!」とワクワクしたのはもちろんですが、ちょっと引っかかったのが音楽が誰でも知ってるバーンスタインの楽曲がそのまま使われていたこと(名曲だとは思うけどおれの好みではない)…それに今回のキャッチ…

「伝説のミュージカルをスピルバーグが映画化!」

これ…ちょっとズルいと思ってしまいました。
もちろん間違ってはないのですが正確には「伝説のミュージカル映画をスピルバーグがリメイク!」でしょ?なんとなく1961年の前作よりも傑作感出させようとする意図が見えて気になりました(笑)

でもさでもさスピルバーグでしょ?
いくらミュージカル弱者のおれでもやっぱり初日に駆けつけました。

そもそも60年前(!)の「ウエストサイド物語」は当時「ロック」だったわけです。ストーリーは知っての通り「ロミオとジュリエット」…シェイクスピアですよ!それをニューヨークの移民不良グループの抗争に置き換えて許されない愛をバーンスタインの楽曲とダンスで描いたわけです。アカデミー賞総なめにした名作です。

おれも若い頃観ましたが流石に古すぎてひと世代前の先輩たちの映画だと感じてしまって…いまひとつ印象に残りませんでした。

その名作を60年後にスピルバーグがリメイクしたのです。何か新しいものに生まれ変わったウエストサイド物語を期待していました。

「ウエスト・サイド・ストーリー」

確かに素晴らしい60年前の楽曲をそのままにもちろん美術やダンスはスピルバーグの完璧なブラッシュアップ!素晴らしい出来だと思いました。
ミュージカル映画好きには新たな傑作の誕生でしょう…しかし

「何故だ?」ほぼ前作をなぞるリメイクにおれは首をかしげげてしまいました。

今、スピルバーグがこれを作る意味がおれにはわかりませんでした。

おれが期待していたのは…

例えば舞台を現在のニューヨークに設定して白人と黒人の不良グループの抗争…音楽もダンスも最新のヒップホップとダンスで新たに作る…そうなると監督はスパイク・リーだな(笑)

その謎は最後の最後にわかりました。
最後にスクリーンに浮かび上がる文字…

「for dad」…父に捧ぐ

スピルバーグの父上は2020年に103歳で他界されてる。
もちろんスピルバーグ一族も移民である。スピルバーグという珍しい名前が自由の女神に残っているという話を聞いたことがある(初期のアメリカ移民の名前が自由の女神の台座に記録されているらしい)

ウエストサイド物語は電気技師だったスピルバーグの父上がもっとも愛した映画だったのだろう(推理)
だからスピルバーグはほぼアレンジすることなくスピルバーグの技量の全てを注ぎ込んだ亡き父に捧げたリメイクだったんだな…

「ウエスト・サイド・ストーリー」
この映画はスピルバーグの個人的な映画で「for us」な映画ではなかったのです(笑)

このスコアはミュージカル映画苦手な偏見に満ちたおれの個人的な点数です(笑)

やっぱり「え?そこで歌っちゃうんだ?…で踊るわけ?おれはドラマだけでこの映画が観たかった」と思ってしまったのです。

すいません…ミュージカル映画好きな方には絶対最高の出来だったと思います。

しかしさっき何気に思いつきで書いたスパイク・リーのヒップホップ版のウエストサイド物語…
観てぇ(笑)

ごめん!スピルバーグ…
NAOKI

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