社会のダストダス

ウエスト・サイド・ストーリーの社会のダストダスのレビュー・感想・評価

3.9
うちの母親が61年版の公開当時、劇場に20回は観に行ったというガチWSS廃人だったので一緒に観に行ってまいりました。「スピルスバーグって他どんな映画撮ってんの?」って聞かれて、マジかよ…って一瞬思ったけど、考えてみれば私もスピルバーグ作品を映画館で観るのって実は初めてかもしれない、殆どの作品は金ローとかで観ている気がするので。

子供の頃、オリジナル版のVHSテープを観たことがあって、おぼろげに覚えている程度の記憶。リメイク版に向けて特に復習もしないで観に行ったけど、曲とかは思った以上にそのままの印象で、ウェスト・サイド・ビギナーの私には通りで踊るシーンで一般通過エキストラがやたら増えたなくらいの違いしか感じなかった。

後からウェスト・サイド・マスターに聞くと、「決闘の日時を決めるのはダンス会場のトイレじゃなくてドクの店だったはず」とか、「『クール』を歌うシーンはトニーとリフは居なかった」など実は色々違ってたらしく、曲の順番も前後が入れ替わっていたりした模様。

クレジットにコリー・ストールの名前があったけど何処にもいなかったじゃんって思ってたら、シュランク警部補役だったらしく、劇中何度も出てきていたのに髪の毛が生えているせいで全然気づかなかった。普段ハゲているイメージしかない人がヅラを被っていると、私はそれだけで擬態に気づかないらしい。

ジェット団の一員のいつもコイントスしてる人は、去年観て好きだった『明日への地図を探して』の主演の人だったりと、モブキャラに近い人達の中に知っている顔を見つけると得した気分になった。ほかには、『17歳の瞳に映る世界』の従兄弟役の子もジェットガールの誰かだと知っていたけど、どこにいるのか全く分からなかった。

アンセル・エルゴートは本作ではギャング団の元ボス、つまりボスベイビーを演じる。歌もパフォーマンスも凄かったけど、ギャング団のボスっぽくは無いなと思っていたけど、60年前のリチャード・ベイマーも改めて見てみると優男で、顔立ちも結構近いことに気づく。アンセル・エルゴートって童顔のイメージだったけど、背は190以上もあったのね。

「面白かった」や「感動した」というよりは、「いい時間だったな」というのが率直な感想。ちなみに私が一番好きな曲は、クラプキ巡査の歌です。もともとベタなロミオとジュリエットなストーリーの軸はいじらずに、演出面をブラッシュアップしただけとも言えるので、オリジナル版がつまらないという人は今回もつまらないかもしれない。

チノ役の人の第一印象が眼鏡をかけたマット・デイモンに見えてしまい、オリジナルに比べて冴えない印象が強くなったので、ずっとマット・デイモンと呼んでました。