スティーブン・スピルバーグが監督を務めた、2021年公開のミュージカル映画。
私は3年前の「午前十時の映画祭10-FINAL」にて61年版を初めて鑑賞しまして、その時は初見なだけあってストーリー自体の重み・深みや60年代ならではの超大作感にいちいち驚かされた、自分にとってはかなり新鮮な映画体験でした。そしてあれから60年ぶり/2度目の映画化となる本作ですが、私はこの作品の全シーン全カットから「こんな映画が観られて良いのだろうか」という得も言われぬ興奮と快感を覚え、魅了され、最終的には完全に惚れ込んでしまったのであります。全キャスト・全スタッフの研ぎ澄まされた巧みな仕事ぶりもさることながら、それを限りなく映画的に美しく際立たせてみせるスピルバーグの力量には感服でございます。61年版の美点を最大限受け継ぎつつも同時にこの物語を現代に改めて描き直す意義も鮮やかに提示されており、61年版しか知らない観客やひいては今回が初見となる観客にさえ「これこそがこの物語の完成形にして理想形だ」と確信させるような説得力と力強さを感じました。
もちろんこれまでもスピルバーグの功績や偉大さにはその都度痛感して来ましたがやはり好きな作品はどれも自分が生まれる前のもので、実はこれまで”現行監督としてのスピルバーグ”に本気で熱中したことは一度もありませんでした。その為こうしてスピルバーグの最新作にリアルタイム観客として感動させられているこの状況を、私は本当に嬉しく思っています。ここに至って個人的にはまたベスト級に好きなスピルバーグ作品が来てしまいました。これはあらゆる意味で「段違いな一作」ではないでしょうか。全編ビッカビカの画作りも最高！ありがとうスピルバーグ！
「America」のミュージカルシーンを見返した回数だけで言うとスピルバーグ本人よりも多いと思う。
