あられ

ウエスト・サイド・ストーリーのあられのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

1950年代後半、世界中から多くの移民が夢と富を求めてアメリカに集まってきた時代。元スラム地区のニューヨーク、マンハッタンのウエストサイドには、多くの移民が住んでいた。そこは再開発地域に指定され、低所得層の集合住宅が解体されていった。

少なくなっていく縄張りを巡り、ギャング集団であるポーランド系(プアホワイト)の ”ジェッツ団” とプエルトリコ系の ”シャークス団” がお互いに敵対し合う。

そんな中、両者が集うダンス・パーティーで、ジェッツのトニーと、シャークスのリーダー・ベルナルドの妹マリアは恋に落ちてしまう。両者の対立を解消しようとする2人。しかし、この禁断の愛は、負の連鎖となって悲劇を生んで行く…。


美しい映像、アクティブなカメラワークは、リアルな臨場感を漂わせていて見事でした。往年の歌やダンスの振付も、前作より躍動感のあるエネルギッシュなものへと変化していて素晴らしかったです😊

ミュージカルシーンは、”America”が好きです。舞台は朝。プエルトリコ系の住民が暮らす地域を巡りながらの路上でのダンスパフォーマンス。女たちはスカートを翻し、男たちはシャドウボクシングしながら踊る。めちゃくちゃかっこいいです。そして大通りに入ると、ラストは子供たちも加わっての楽しそうなダンスへ。気分が上がってスカッとします😊


移民の国アメリカ。側から見れば移民という点で、どっちもどっちなんだけど、先に入植して来た白人が、後から来たプエルトリコや中南米の移民を嫌悪&蔑視し、立場や仕事を取られ始めると、危機感を抱くようになっていきます。

移民問題、人種格差&差別、貧富差、トランスジェンダーなどの分断を背景にしたこの物語は、元ネタのイタリア・ヴェローナのモンタギュー、キャピュレット両家の対立を描いたシェイクスピアの “ロミオとジュリエット” の時代から、現在に至っても解決されていない、根が深い問題です。こうした人種間の対立や排外主義は、昨今世界中でやたらと高まっているようです。

今作品を字幕版で見ると、プエルトリコの移民たちがスペイン語で話すシーンも多く、言葉が通じないため理解されなかったり、英語で話すように促される場面もあり、細かいところにも分断の構図をリアルに表現してますね😰

ラストは、銃を使うことや人種差別がどんなに浅はかで愚かなことなのか、警鐘を鳴らしているかのようです。


実兄が恋人に殺されて、恋人が仲間に殺されると言う可哀想な悲劇のヒロインのマリア。だけど個人的にはマリアが許せない。まだお子ちゃますぎるマリア。自分が優先の浅ましさに辟易しながら見てました。

マリアのたった数日間のラブストーリーは、トニーを愛していると言うよりも、うざい兄から逃げたかっただけのような印象を与えるw しかも、兄が殺された日に、兄を殺した相手であるトニーとベッドインしちゃうなんて、兄貴がかわいそうすぎる😭自首すると言うトニーを逆に説得して逃避行に誘うしw 愛してるなら自首を進めろよ。邪魔すんな💢

アニタに対するマリアの仕打ちも酷すぎるw 恋人を殺した相手であるトニーあてに伝言を頼むなんて…。そのせいでアニタはジェッツの溜まり場でレイプされそうになるし。救いなのは、ジェッツの仲間の女子たちが、アニタを救おうとするところ。感動した😊

トニーもね、中々のダメ男ですねw マリアに言われて無理やり喧嘩の仲裁に入って、そのせいでリフがベルナルドに刺されちゃう。トニーのせいだよねw それなのに逆上してベルナルドを刺しちゃうなんて。何やってんだかww ただ、美術館デートはロマンチックだったし、ラストのトニーは、マリアに対する愛情が感じられる、いい笑顔を見せてくれましたけど😭

と言うことで、この薄っぺらい悲劇のラブストーリーにはドン引きしました。もちろんミュージカルの方は最高でした😊
あられ

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